南海トラフ地震の備えは何をする?防災士が今日からの一歩を解説【2026年版】
南海トラフ地震の備えは何をすればいいのか。防災士のマモルが、南海トラフ地震臨時情報の意味と発表時の行動、家庭の備蓄や家具固定、津波避難の準備まで、煽らず正確に解説します。最新確認日2026-06-27。
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「南海トラフ地震に備えて、結局何をすればいいのか分からない」。そう感じている方はとても多いと思います。私自身、防災士として相談を受けるとき、いちばん多いのがこの質問です。
私は防災士で、小学生と保育園児の二児の親です。家庭で実際に備えを続けながら、地域の防災活動にも関わっています。この記事では、不安をあおることなく、今日からできる一歩を順番にお伝えします。難しい専門用語はなるべくかみくだいて、公式の情報をもとに正確に書いていきます。
最新確認日は2026-06-27です。臨時情報の運用や被害想定は更新されることがあるため、最新の内容は気象庁・内閣府防災・お住まいの自治体で確認してください。
南海トラフ地震とは何ですか?
南海トラフ地震は、静岡県の駿河湾から九州沖にかけて広がる「南海トラフ」と呼ばれる海底の溝で、プレートのひずみが解放されて起こる大規模な地震です。
この地域では、おおむね100年から150年ほどの間隔で繰り返し大地震が発生してきたことが分かっています。想定されているのは、広い範囲での強い揺れと、太平洋側の沿岸を中心とした津波です。被害が及ぶ可能性のある地域はとても広く、複数の地域で同時に被害が出ることも想定されています。
ここで大切なのは、私たちが「いつ・どこで・どの規模で起きるか」を正確に予測する技術は、現在の科学では確立されていないということです。だからこそ、特別なことではなく、日頃の備えを一つずつ積み重ねておくことが意味を持ちます。
南海トラフ地震はいつ起きると言われていますか?
時期を正確に当てることはできません。発生時期を断定する情報があれば、それは誤りだと考えてください。
政府の地震調査委員会は、2025年9月に算出方法を見直し、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率について「60〜90%程度以上」と「20〜50%」という2つの想定を併記して示しました。従来は「80%程度」とされていましたが、データの誤差への指摘をふまえて12年ぶりに手法が改められたものです。表現に幅はありますが、地震調査委員会は「発生確率は高く、最も高いランクに位置づけられる」という評価を変えていません。なお地震調査委員会は、自治体などが住民に注意を呼びかける際には、低い方ではなく高い方の「60〜90%程度以上」を用いて備えを促すことが望ましいとしています。低い数字だけを見て油断しないことが大切です。
つまり、「いつ起きるかは予測できないが、長期的に見れば高い確率で評価されている」というのが正確な言い方です。私は、この確率の数字に一喜一憂するより、明日起きても困らない状態を今のうちに作っておくことのほうが大切だと考えています。
南海トラフ地震臨時情報とは何ですか?
南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフ沿いで普段と異なる現象が観測されたときに、気象庁が発表する情報です。後から起こるかもしれない地震に注意を促すためのもので、地震を予知するものではありません。
この情報は、突発的に大地震が発生するケースとは別に、「何らかの異常な現象が先に観測された」場合に出されます。観測された現象を専門家が評価し、結果に応じてキーワードが付けられます。情報が出たからといって必ず大地震が起こるわけではなく、逆に情報がないまま地震が起こる可能性も残っています。落ち着いて、発表される内容と自治体の指示を確認することが基本です。
臨時情報の区分にはどんな種類がありますか?
南海トラフ地震臨時情報は、「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の4つのキーワードで発表されます。それぞれの趣旨を早見表にまとめました。
| キーワード | どんなとき | 求められる対応の趣旨 |
|---|---|---|
| 調査中 | 想定震源域でマグニチュード6.8以上の地震など、異常な現象を観測し評価を始めたとき | 続報に注意し、避難などの防災対応を準備・開始する |
| 巨大地震警戒 | 想定震源域でマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価されたとき | 後発地震に間に合わない可能性のある住民は1週間の事前避難。それ以外の人も日頃の備えを再確認し、すぐ避難できる態勢をとる |
| 巨大地震注意 | マグニチュード7.0以上の地震や、通常と異なるゆっくりすべりなどが評価されたとき | 日頃の備えを再確認し、地震が起きたらすぐ避難できる準備をする |
| 調査終了 | 警戒・注意のいずれにも当てはまらないと評価されたとき | 通常の生活に戻る。ただし地震の可能性がなくなったわけではない点に留意 |
これは気象庁と内閣府防災が示す区分にもとづいています。区分の名前と趣旨を覚えておくだけでも、いざというときの判断がぐっと楽になります。
臨時情報が出たら何をすればいいですか?
まずは情報の種類を確認し、お住まいの自治体が出す避難の呼びかけに従うことが第一です。臨時情報そのものが避難を一律に命じるわけではなく、地域ごとの事情をふまえた対応を自治体が示します。
「巨大地震警戒」が発表された場合、津波などで地震発生後の避難では間に合わない可能性のある地域では、住民に向けて1週間の事前避難が呼びかけられることがあります。対象になるかどうかは、お住まいの自治体があらかじめ定めています。自分の地域が事前避難の対象かどうかは、平時のうちに自治体の防災情報で確認しておくと安心です。
「巨大地震注意」や「調査中」の段階では、事前避難までは求められないことが一般的ですが、日頃の備えの再確認と、すぐに動ける準備が必要です。私が家庭で決めているのは、臨時情報が出たら、まず家族で集合場所と連絡手段を口頭で確認し、非常用持ち出し袋を玄関に出しておくことです。特別な道具はいりません。すでにある備えを「使える状態」に整えるだけで十分です。
家庭ではどんな備蓄をすればいいですか?
南海トラフ地震では非常に広い範囲が同時に被災する可能性があるため、支援が届くまで時間がかかることが想定されます。そのため、内閣府防災などは家庭の備蓄として「1週間分以上」をめやすにすることが望ましいとしています。
最低限そろえておきたいものを表にまとめました。家族の人数や年齢に合わせて調整してください。
| 品目 | めやす | ひとこと |
|---|---|---|
| 飲料水 | 1人1日3リットル × 7日分 | 調理や手洗いを考えると多めが安心です |
| 食料 | 1人7日分 | レトルト、缶詰、ローリングストックが続けやすいです |
| 携帯トイレ | 1人1日5回 × 7日分 | 断水時に最も困るのがトイレです |
| 常備薬・救急用品 | 各家庭に合わせて | 持病の薬は予備を多めに |
| モバイルバッテリー・電池 | 家族分 | 情報収集と安否確認に欠かせません |
| 乳幼児・高齢者用品 | 必要な家庭で | 粉ミルク、おむつ、介護用品など |
ローリングストックは、普段の食材を少し多めに買い、食べた分を買い足していく方法です。賞味期限切れを防ぎやすく、無理なく続けられます。私の家でも、特別な非常食より、家族が普段食べ慣れたものを多めに置くようにしています。
見落としやすいのが、飲み水とは別に必要な「生活用水」です。トイレを流す、手や体を洗う、食器をすすぐといった用途には、飲料水とは別に水を確保しておくと安心です。お風呂の残り湯を抜かずにためておくのも、断水時の生活用水として役立ちます。あわせて、カセットコンロとガスボンベがあると、停電や都市ガスの停止時でも温かい食事がとれます。市販の防災セットを使う場合は、本記事はあくまで一般的な考え方の紹介であり、特定の製品の効果を保証するものではありません。家族構成に合うかどうかを中身で判断してください。
家具の固定や住宅の耐震はどうすればいいですか?
強い揺れではまず「倒れてこない・落ちてこない・移動してこない」家の中をつくることが、命とけがを守る近道です。
家具は「必ず倒れるもの」と考えて、L字金具や突っ張り棒、転倒防止ベルトなどで壁に固定します。寝室や子ども部屋には背の高い家具を置かない、置く場合は出入口や寝る位置の近くを避ける、といった配置の工夫も効果があります。食器棚には扉が開かないストッパーを、窓ガラスには飛散防止フィルムを貼っておくと、割れたガラスでのけがを減らせます。
住宅そのものの耐震も重要です。とくに1981年(昭和56年)5月以前の古い耐震基準で建てられた住宅は、耐震診断を受けることをおすすめします。多くの自治体で耐震診断や改修への補助制度があります。費用の不安がある方も、まずは自治体の窓口に相談してみてください。
津波への備えとして何を確認すればいいですか?
沿岸部にお住まいの方や、沿岸部で過ごす機会がある方は、津波からの避難経路と避難先を、いざというときの前に確認しておくことが大切です。
確認しておきたいのは次の点です。
- 自宅・職場・学校から、最も近い高台や津波避難ビルはどこか
- そこまで歩いて何分かかるか、夜間でも通れる道か
- 海の近くで揺れを感じたら、情報を待たずに高い場所へ動くという家族の約束
揺れの強さや津波の高さの想定は地域によって大きく異なります。お住まいの自治体が公開しているハザードマップで、自分の生活圏の浸水想定と避難場所を実際の地図で確認してください。地図上で一度たどっておくだけで、いざというときの動きが変わります。津波やけがなど命に関わる場面では、ためらわず119番や自治体の避難情報に従ってください。
津波避難でとくに覚えておきたいのは、「より高く、より早く」という考え方です。遠くへ逃げることよりも、まず近くの高い場所へ早く動くことが優先される場面が多くあります。海岸や河口の近くで強い揺れや長い揺れを感じたら、津波警報や避難指示を待つ前に、自分の判断で高台や津波避難ビルへ動き始めてください。日中だけでなく、夜間や雨の日でも安全に通れる経路かどうかを、家族で歩いて確かめておくと安心です。車での避難は渋滞や立ち往生の危険があるため、徒歩を基本に考えておきましょう。
家族の安否確認はどう決めておけばいいですか?
災害時は電話がつながりにくくなります。連絡手段を一つに頼らず、複数の方法をあらかじめ家族で決めておくと安心です。
具体的には、災害用伝言ダイヤル「171」や、携帯各社の災害用伝言板の使い方を家族で一度試しておくことをおすすめします。あわせて、SNSやメッセージアプリでの安否報告のルール、家がばらばらのときに最終的に集まる場所も決めておきます。子どもには、学校や学童でどう動くかを事前に確認させておくと、保護者も落ち着いて行動できます。
私の家では、毎年9月の防災週間に、この安否確認の手順を家族で口に出して確認するようにしています。一度決めても忘れてしまうので、年に一度の見直しがちょうどよいと感じています。
よくある質問
Q. 南海トラフ地震はいつ起きると断言できますか。
A. いいえ、断言はできません。現在の科学では発生の時期を正確に予測できません。30年以内の確率は高く評価されていますが、それは「いつ起きるか分かる」という意味ではなく、長期的な評価です。時期を断定する情報には注意してください。
Q. 臨時情報の「巨大地震警戒」が出たら、必ず避難しないといけませんか。
A. 一律ではありません。地震発生後の避難では間に合わない可能性のある地域では1週間の事前避難が呼びかけられますが、対象は自治体があらかじめ定めています。まずはお住まいの自治体の呼びかけに従ってください。
Q. 備蓄は3日分あれば足りますか。
A. 南海トラフ地震は広い範囲が同時に被災する想定のため、支援に時間がかかる可能性があります。内閣府防災などは1週間分以上を望ましいめやすとしています。少しずつでも積み増していくと安心です。
Q. 臨時情報が出なければ大地震は起きないのですか。
A. そうとは限りません。臨時情報は異常な現象が観測されたときに出るもので、情報がないまま突発的に地震が起こる可能性は常にあります。日頃の備えが基本になります。
Q. 賃貸住宅でも耐震や家具固定の対策はできますか。
A. できます。突っ張り棒タイプの転倒防止器具や、はがせるジェルマット、飛散防止フィルムなど、壁や床を傷つけにくい方法があります。建物の耐震については、不安があれば管理会社や自治体の窓口に相談してみてください。
まとめ:今日からできる一歩を一つずつ
南海トラフ地震への備えは、完璧を目指す必要はありません。家具を一つ固定する、水を少し買い足す、ハザードマップを開いて避難先を確かめる。そうした小さな一歩の積み重ねが、いざというときに自分と家族を守ります。
臨時情報が出たときに慌てないためにも、平時の今こそ、できることから始めてみてください。私も、家族と一緒に少しずつ続けています。
🛡 マモルの備えメモ:まずは「水を1週間分」「背の高い家具を1つ固定」「ハザードマップで避難先を確認」の3つから。一度に全部そろえなくて大丈夫です。今日できた一歩を、家族にも共有しておきましょう。
免責事項:本記事は2026-06-27時点の公開情報をもとに、防災の一般的な考え方をまとめたものです。南海トラフ地震臨時情報の運用や被害想定、避難の呼びかけは更新されることがあります。実際の行動にあたっては、必ず気象庁・内閣府防災・お住まいの自治体の最新情報と指示に従ってください。命に関わる緊急時は119番や自治体の避難情報を優先してください。
主な参考情報(一次情報)
- 気象庁「南海トラフ地震臨時情報が発表されたときの防災対応」
- 内閣府防災「南海トラフ地震臨時情報が発表されたら!」「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」
- お住まいの自治体が公開するハザードマップ・防災情報