水害ハザードマップの見方|浸水想定と色の意味を防災士が解説【2026年版】
水害ハザードマップの見方を防災士マモルがやさしく解説。洪水・内水・高潮の種類の違い、浸水想定区域と浸水深を表す色の意味、自宅や職場の浸水リスクの調べ方、家屋倒壊等氾濫想定区域、避難所と避難経路の確認、国土交通省の重ねるハザードマップの使い方まで。色が薄くても安全とは限らない理由も、煽らずにお伝えします。
「水害のハザードマップ、どう見ればいいの」。自治体から配られた地図を一度はひらいてみたものの、色や言葉の意味がよくわからず、そのまま引き出しにしまってしまった。そんな経験がある方は、けっして少なくありません。
私は防災士で、二人の子どもを育てる親でもあります。引っ越してきたばかりのころ、自宅のハザードマップを見て「この水色は何メートルの浸水なのだろう」「うちは塗られていないけれど、本当に安全なのかな」と戸惑った記憶があります。地図の見方がわかると、不安は「やるべきこと」に変わりました。
先に結論からお伝えします。水害ハザードマップは、色の濃さで「どれくらいの深さまで浸水しうるか」を示しています。 まず自宅と職場の場所を地図上で探し、塗られた色の意味を読み取り、避難所と避難経路を確かめる。この順番で見れば、むずかしくありません。
この記事では、水害ハザードマップの種類、浸水想定区域と浸水深の色の見方、自宅や職場のリスクの調べ方、避難所と避難経路の確認、そして見落としがちな家屋倒壊等氾濫想定区域まで、防災士の視点で順番に整理します。「色が薄い、塗られていない=絶対に安全」ではない、という大切な注意点もあわせてお伝えします。
本記事の最新確認日: 2026-06-27。ハザードマップは河川の調査や想定の見直しによって更新されます。実際に確認する際は、国土交通省のハザードマップポータルサイトや、お住まいの自治体が公表している最新の水害ハザードマップを必ずご確認ください。
水害ハザードマップとは、そもそも何を示す地図なの?
水害ハザードマップは、大雨や台風で浸水するおそれのある範囲と、その深さの想定、避難所などを示した地図です。自分の住む場所がどんな水害に弱いかを、ひと目で確かめられます。
国や都道府県は、河川ごとに「想定しうる最大規模の雨」が降った場合に、どこまで水が広がり、どれくらいの深さになるかを計算しています。それを地図に色で表したものが、水害ハザードマップです。自治体はこれをもとに、住民向けのマップを作って配っています。
大切なのは、これが「予言」ではなく「想定」だということです。実際の浸水は、雨の降り方や河川の状態によって変わります。それでも、自分の地域でどんな水害が起こりうるかを事前に知っておくことは、当日落ち着いて動くための大きな助けになります。私はいつも「ハザードマップは怖がるための地図ではなく、落ち着いて備えるための地図です」とお伝えしています。
水害ハザードマップにはどんな種類があるの?
水害ハザードマップには、主に洪水・内水・高潮の3種類があります。それぞれ水のあふれ方が違うため、自分の地域に関係するものを確認することが大切です。
ひとくちに「水害」といっても、原因はいくつかあります。川があふれるのか、雨水がはけきれずにあふれるのか、海の水が押し寄せるのか。マップは、この原因ごとに分かれて作られていることが多いです。下の表で、それぞれの違いを整理しました。
水害ハザードマップの種類別 早見表
| 種類 | 何が原因か | どんな場所で注意か |
|---|---|---|
| 洪水ハザードマップ | 川の水があふれる、堤防が決壊する(外水氾濫) | 川の近く、低い土地、過去に浸水した地域 |
| 内水ハザードマップ | 大雨で下水や排水が追いつかず、雨水が道路や敷地にあふれる(内水氾濫) | 都市部、川から離れていても起こりうる、低い窪地 |
| 高潮ハザードマップ | 台風などで海面が上昇し、海水が陸へ押し寄せる | 沿岸部、海抜の低い地域、河口付近 |
この表で覚えておいてほしいのは、川から離れているから安全とは限らないということです。内水氾濫は、川がそばになくても、雨水のはけ口が足りない都市部や窪地で起こります。沿岸部にお住まいなら、高潮のマップも欠かせません。お住まいの地域でどの種類が公表されているか、まず確認してみてください。なお、津波や土砂災害のマップは別に作られていることが多く、それぞれあわせて見ておくと安心です。
浸水想定区域と浸水深を示す色は、どう見ればいいの?
浸水想定区域は色で塗られた範囲を指し、色が濃いほど深く浸水する想定です。多くのマップでは、薄い水色から濃い青や紫へと、浸水深が深くなるにつれて色が濃くなります。
地図に塗られた色こそ、ハザードマップの中心です。色の濃さは「何メートルくらい浸水しうるか」を表しています。区分の数や色合いはマップによって少し違いますが、考え方は共通です。代表的な浸水深の区分を、下の表にまとめました。
浸水深の色の見方 早見表(一般的な区分の例)
| 浸水の深さの想定 | 浸水の目安 |
|---|---|
| 0.5メートル未満 | 大人の膝くらいまで。歩行が困難になり始める |
| 0.5〜3.0メートル | 1階の軒下まで浸かりうる。1階が水没するおそれ |
| 3.0〜5.0メートル | 2階の軒下まで浸かりうる。2階への垂直避難でも危険な場合がある |
| 5.0メートル以上 | 2階の屋根を超えうる。建物の上階でも安全とは限らない |
この区分はあくまで一般的な目安で、マップごとに色や数値の刻み方は異なります。必ず、ご覧になっているマップの凡例(色の説明)を確認してください。 同じ水色でも、マップによって示す深さが違うことがあります。
私が見方をお伝えするとき、いつも強調するのは「自分の家の色だけでなく、まわりの色も見てください」ということです。自宅が浅い想定でも、避難経路の途中に濃い色の区域があれば、その道は通れなくなるかもしれません。点ではなく、面で地域を見ることが大切です。
自宅や職場の浸水リスクは、どうやって調べるの?
国土交通省のハザードマップポータルサイトで住所を入力すれば、自宅や職場の浸水リスクを地図上で確かめられます。自治体が配るマップとあわせて見るのが確実です。
調べ方は、思っているより簡単です。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」には、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2つがあります。重ねるハザードマップは、洪水・内水・高潮・土砂災害などの情報を1つの地図に重ねて表示できます。わがまちハザードマップは、自治体が公表しているマップを地域ごとに探せます。
浸水リスクの調べ方(手順)
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 国土交通省ハザードマップポータルサイト(disaportal.gsi.go.jp)をひらく |
| 2 | 「重ねるハザードマップ」で自宅や職場の住所・地名を検索する |
| 3 | 洪水・内水・高潮など、見たい災害の種類を選んで地図に重ねる |
| 4 | 自宅や職場の場所の色を、凡例(色の説明)と照らし合わせて読み取る |
| 5 | 自治体の「わがまちハザードマップ」もあわせて確認し、避難所も見ておく |
職場や子どもの学校、よく行く場所も、同じように調べておくことをおすすめします。私は家族で、自宅・職場・学校の3か所を一度に確認しました。日中に水害が起きたとき、どこにいるかで取るべき行動が変わるからです。
なお、ポータルサイトの情報は更新されます。一度見て終わりにせず、引っ越したときや、大きな水害のニュースがあったときに、改めて確認する習慣をつけておくと安心です。
避難所と避難経路は、ハザードマップでどう確認するの?
ハザードマップには、避難所の場所も記号で示されています。自宅から避難所までの経路に浸水の色がかかっていないかを確かめ、安全に通れる道を選んでおくことが大切です。
避難先を知っているだけでは十分ではありません。そこへ行く道が安全かどうかが、命を分けます。マップで避難所の場所を確かめたら、自宅からその避難所までの道を指でなぞってみてください。途中に濃い色の浸水想定区域や、川、アンダーパス(道路が下をくぐる場所)がないかを見ます。
経路の途中が深く浸水する想定なら、その道は大雨のときに通れない可能性があります。遠回りでも、浸水の色がかかっていない道を選んでおきましょう。避難所そのものが浸水想定区域内にある場合もあるので、その避難所が水害のときに使えるのかどうかも、自治体の案内で確かめておくと安心です。
私の家では、避難経路を2つ用意しています。1つ目が冠水していたときに、別の道を選べるようにするためです。家族で実際にその道を歩いてみると、地図ではわからない段差や危険な場所に気づけます。晴れた日の散歩がてら、一度たどってみてください。避難のタイミングそのものに迷う方は、避難の判断についての記事もあわせてご覧ください。
家屋倒壊等氾濫想定区域とは、どんな区域なの?
家屋倒壊等氾濫想定区域とは、堤防が決壊したときに、激しい水の流れや川岸の浸食によって、家屋が倒壊したり流されたりするおそれがある区域です。浸水の深さとは別に、特に危険な場所として示されています。
これは、ぜひ知っておいてほしい区域です。2015年の関東・東北豪雨で堤防が決壊し、家屋が流された被害を受けて、国はこうした区域を公表するようになりました。浸水の深さを示す色とは別に、地図上で示されています。
ここが大切なのですが、家屋倒壊等氾濫想定区域では、自宅の2階に逃げる垂直避難では命を守りきれないことがあります。 家そのものが流される、あるいは壊れるおそれがあるからです。この区域に自宅が入っている場合は、上階にとどまるのではなく、区域の外の安全な場所へ早めに立退き避難することが原則になります。
自分の家がこの区域に含まれているかどうかは、重ねるハザードマップや自治体のマップで確認できます。浸水深の色だけを見て「2階に上がれば大丈夫」と判断してしまうと、危険を見落とすことがあります。色の濃さとあわせて、この区域の表示も必ず確かめてください。判断に迷うときは、お住まいの自治体の防災担当に相談するのも一つの方法です。
色が薄い、塗られていない場所なら安全と考えていいの?
いいえ、色が薄い場所や塗られていない場所でも、絶対に安全とは言い切れません。ハザードマップはあくまで想定であり、想定を超える雨が降れば、塗られていない場所でも浸水することがあります。
ここは、この記事でいちばんお伝えしたいことです。マップで自宅が塗られていないと、つい「うちは大丈夫」と安心してしまいがちです。けれど、それは危険な思い込みになりかねません。
ハザードマップが示すのは、「想定した規模の雨」が降ったときの浸水です。実際には、その想定を超える大雨が降ることもあります。近年は、これまで経験したことのないような豪雨が各地で起きています。また、内水氾濫のように、マップで十分に示しきれていない浸水が起こることもあります。色が薄い、塗られていない=絶対安全、ではありません。
では、塗られていない地域に住む人はどうすればいいのか。私がお伝えしているのは、「マップを過信せず、当日は避難情報に素直にしたがう」ということです。自治体が避難を呼びかけたら、自宅の色がどうであれ、早めに動く。マップは備えの出発点であって、当日の判断をすべて肩代わりしてくれるものではありません。地域差も大きいので、お住まいの自治体が出す最新の水害ハザードマップと避難情報を、必ずあわせて確認してください。
ハザードマップを見たあと、まず何をすればいいの?
まずは避難先と避難経路を家族で1つ決め、災害時の連絡方法を共有することです。地図を見て終わりにせず、行動につなげることが大切です。
ハザードマップは、見て知識を得るだけでは半分です。残りの半分は、その情報を家族の行動に変えることにあります。地図で自宅のリスクと避難所を確かめたら、次の3つを家族で話し合ってみてください。
1つ目は、どこへ避難するか。自宅が浸水想定区域にあるなら、区域の外の避難所や、安全な親戚・知人の家を候補にします。2つ目は、どの道で行くか。浸水の色がかかっていない経路を選び、できれば2つ用意します。3つ目は、家族がばらばらのときの連絡方法と集合場所です。
私の家では、これを冷蔵庫に貼った1枚の紙にまとめています。子どもでもわかるように、避難先と道順、連絡先を書いておくのです。大雨の浸水そのものへの備えは、自宅の浸水対策をまとめた記事も参考になります。完璧なものでなくて構いません。まず一度、家族で地図を囲んで話す。その時間こそが、いちばんの備えになります。
水害ハザードマップの見方でよくある質問(FAQ)
ここでは、水害ハザードマップの見方についてよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 水害ハザードマップは、どこで見られますか?
A. 国土交通省のハザードマップポータルサイト(disaportal.gsi.go.jp)で、住所や地名を検索すれば地図上で確認できます。「重ねるハザードマップ」で洪水・内水・高潮などを重ねて見られ、「わがまちハザードマップ」で自治体が公表したマップを探せます。あわせて、お住まいの自治体が配布する紙のマップや公式サイトも確認すると確実です。マップは更新されるため、最新のものを見るようにしてください。
Q. 浸水想定区域の色は、何を表していますか?
A. 色は、その場所が浸水しうる深さの想定を表しています。多くのマップでは、薄い水色から濃い青や紫へと、浸水深が深くなるにつれて色が濃くなります。ただし色の区分や数値の刻み方はマップによって異なるため、必ずそのマップの凡例(色の説明)を確認してください。同じ水色でも、マップによって示す深さが違うことがあります。
Q. 家の場所が塗られていなければ、浸水の心配はありませんか?
A. いいえ、塗られていない場所でも絶対に安全とは言えません。ハザードマップは想定した規模の雨をもとにした地図であり、想定を超える大雨では塗られていない場所も浸水することがあります。内水氾濫など、マップで十分に示しきれない浸水もあります。マップを過信せず、自治体が避難を呼びかけたら早めに動くことが大切です。
Q. 家屋倒壊等氾濫想定区域とは何ですか?
A. 堤防が決壊したときに、激しい水の流れや川岸の浸食で家屋が倒壊したり流されたりするおそれがある区域です。2015年の関東・東北豪雨を受けて公表が始まりました。この区域では2階への垂直避難では命を守りきれないことがあるため、区域の外の安全な場所へ早めに立退き避難するのが原則です。重ねるハザードマップや自治体のマップで確認できます。
Q. 洪水・内水・高潮のマップは、全部見る必要がありますか?
A. お住まいの地域に関係するものを確認してください。川の近くなら洪水、都市部や窪地なら内水、沿岸部なら高潮のマップが特に重要です。川から離れていても内水氾濫は起こりうるため、洪水だけを見て安心するのは禁物です。どの種類が公表されているかは地域によって異なるので、自治体の案内で確かめてください。
まとめ|ハザードマップは「想定」、当日は避難情報を最優先に
水害ハザードマップは、洪水・内水・高潮という水害の種類ごとに、浸水しうる範囲と深さを色で示した地図です。色が濃いほど深く浸水する想定で、自宅や職場の場所の色を凡例と照らし合わせて読み取ります。避難所と避難経路、そして家屋倒壊等氾濫想定区域もあわせて確認すれば、当日の行動がはっきりします。
ただし、忘れないでほしいことがあります。マップはあくまで想定です。想定を超える雨が降れば、色が薄い場所や塗られていない場所でも浸水することがあります。「塗られていない=絶対安全」ではありません。マップは備えの出発点として活かしつつ、当日は自治体が出す避難情報に素直にしたがってください。
ここに書いた色の区分や見方は、一般的な目安です。実際の浸水の危険度や必要な行動は、お住まいの地域や雨の規模によって変わります。確認する際は、国土交通省のハザードマップポータルサイト、気象庁、内閣府防災、そしてお住まいの自治体が公表する最新の水害ハザードマップにそって判断してください。
🛡 マモルの備えメモ:今日できる一歩は、「お住まいの自治体名」と「ハザードマップ」で検索して、自宅の色を一度確かめてみることです。色の意味を凡例で読み取り、避難所を1つ見つけたら、そこまでの道を家族と話してみてください。完璧を目指さなくて大丈夫。地図を一度ひらくこと、それ自体が、ご家族の安心への確かな一歩になります。
免責事項:本記事は水害ハザードマップの見方に関する一般的な情報をまとめたものであり、特定の場所の安全を保証するものではありません。ハザードマップは想定にもとづく地図であり、想定を超える浸水が起こることがあります。色が薄い場所や塗られていない場所であっても、絶対に安全とは限りません。実際のリスク確認や避難の判断は、国土交通省・気象庁・内閣府防災・お住まいの自治体が公表する最新の情報にもとづいて行ってください。けがや救助が必要な緊急時は、119番(消防・救急)にご連絡ください。本記事の最新確認日は2026-06-27です。