🛡防災の備えメモ

犬・猫と避難するには?同行避難の準備とケージ慣らしを防災士が解説

犬・猫を連れた避難の準備を防災士がまとめました。日頃からケージやキャリーに慣らすコツ、犬と猫それぞれの注意点、フード・薬・迷子対策などの備えチェック表、避難所での受け入れ確認まで。受け入れは自治体で異なるので最新を確認しましょう。

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地震や台風の備えを考えるとき、「犬や猫を連れて、本当に避難できるだろうか」と立ち止まる方は多いと思います。私自身、防災士として活動しながら二人の子どもと暮らし、犬と猫のいる家庭の相談を数多く受けてきました。そのなかで感じるのは、犬・猫との避難でいちばん差が出るのは「当日の行動」ではなく、「平常時にどれだけ慣らしておいたか」だということです。

この記事では、犬・猫を連れた同行避難の準備を、防災士の私の視点で整理してお伝えします。日頃からケージやキャリーに慣らしておくこと、犬と猫それぞれで気をつけたい点、必要な備え、迷子対策、避難所での受け入れ確認まで、順番に見ていきましょう。脅すためではなく、あなたと大切な家族(ペット)が少しでも落ち着いて動けるように、一歩ずつ進めていけたらと思います。

なお、本記事の公的情報は最新確認日 2026-06-27 時点のものです。ペットの受け入れ可否や避難所での過ごし方は自治体・避難所によって異なるため、お住まいの地域の最新情報をご自身でも確認してください。健康や薬、ワクチンに関わる判断は、自己判断せずかかりつけの獣医師に相談しながら進めてください。

犬・猫の同行避難とは何を指すの?

同行避難とは、災害が起きたときに飼い主がペットと一緒に避難場所まで安全に移動する行動のことを指します。避難所のなかで一緒に過ごせること(同伴避難)とは意味が異なり、まずは飼い主とペットが一緒に避難先へたどり着くことを表す言葉です。

環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」では、災害時に飼い主がペットと同行避難することが基本的な行動として位置づけられています。ただし、避難先でペットと同じ空間で過ごせるかどうかは、自治体や避難所ごとに対応が分かれます。同行避難ができたとしても、避難所では別の場所で飼養するよう求められることもあるため、その違いをあらかじめ知っておくと混乱を避けやすくなります。

私が相談を受けるときも、「同行避難」と「同伴避難」を同じものだと思っていた、という声をよく聞きます。一緒に逃げることと、一緒に避難所内で過ごせることは別物だと整理しておくと、当日の判断が落ち着いたものになります。

なぜ日頃からケージやキャリーに慣らしておくの?

いざというときにパニックを防ぎ、安全に運ぶためです。ふだん入り慣れていないケージやキャリーに突然入れようとすると、犬も猫も強く嫌がり、避難そのものに時間がかかってしまうことがあります。

環境省のガイドラインでも、避難時にペットと一緒に避難できるよう、日頃からキャリーバッグやケージに入ることに慣れさせておくことが必要だとされています。災害の発生は予告なくやってきますから、その瞬間に「入ってくれない」という状況をできるだけ減らしておきたいのです。

慣らし方のひとつとして、ケージやキャリーをふだんから部屋に置き、なかでおやつをあげたり、安心して眠れる居場所にしたりする方法があります。扉を閉める時間を少しずつ延ばし、移動を伴う短い外出にも使ってみると、犬や猫にとって「怖い箱」ではなく「いつもの居場所」に近づいていきます。あくまでその子の性格やペースに合わせて、無理のない範囲で進めるのが望ましいでしょう。

私の家でも、猫のキャリーは押し入れにしまわず、リビングの隅に出しっぱなしにしています。中に毛布を敷いておくと自分から入って昼寝をするようになり、動物病院へ行くときの抵抗もずいぶん和らぎました。小さな積み重ねが、災害時の数分を大きく左右すると感じています。

犬と避難するときに気をつけることは?

リードやハーネスでの確実な保護と、ふだんの基本的なしつけが要になります。中型犬以上は、飼い主と一緒に歩いて避難するのが基本になるため、リードが外れない状態を保てるかどうかが安全に直結します。

避難の混乱のなかでは、犬も興奮したり怖がったりして、いつもより力が強く出ることがあります。首輪が抜けてしまう不安があるなら、胴に装着するハーネスを併用すると外れにくくなります。小型犬は首輪やリードを付けたうえでキャリーに入れると、万一の飛び出しに備えやすくなります。

しつけの面では、「待て」「おいで」といった基本の指示に応じられること、ケージのなかで落ち着いて過ごせること、ほかの人や動物がいてもむやみに吠え続けないことが、避難先で周囲とトラブルになりにくい状態につながります。完璧を目指す必要はありませんが、ふだんからできる範囲で関わっておくと、避難所という慣れない環境でもお互いに過ごしやすくなります。なお、健康面で気になる点があるときは、行動の練習を始める前にかかりつけの獣医師に相談しておくと安心です。

猫と避難するときに気をつけることは?

猫は強い不安を感じると隠れたりパニックになったりしやすいため、確実に保護できる準備が大切になります。地震や大きな物音に驚いて家具のすき間に潜り込んでしまうと、避難の直前に捕まえられず時間を失うことがあります。

捕獲しやすいよう、ふだんから猫の隠れ場所を把握しておくこと、キャリーに入り慣れさせておくことが助けになります。暴れて爪や歯が出てしまう子の場合は、洗濯ネットに入れてからキャリーへ移す方法が、飼い主のけが防止と猫の保護の両面で知られています。洗濯ネット越しでも呼吸できる状態を保ち、長時間の閉じ込めにならないよう配慮しましょう。

避難先では、猫は狭く暗い場所のほうが落ち着けることが多いため、キャリーの上から布をかけて目隠しをしてあげると、刺激が減って安心しやすくなります。猫それぞれで不安の出方は違いますから、ふだんの様子をよく見て、その子に合った保護の仕方を考えておくとよいでしょう。体調や食欲に変化が見られるときは、無理に環境を変えず獣医師に相談してください。

犬・猫の避難準備チェック表には何を入れる?

フード・水・薬・トイレ用品・食器に加えて、健康の記録や迷子対策の品をそろえておきます。犬と猫で必要なものは重なる部分が多いですが、避難の運び方や保護の道具に違いがあるため、下の表で分けて確認すると整理しやすくなります。

薬や療法食、ワクチンに関わるものは、自己判断で量や種類を決めず、かかりつけの獣医師に相談しながら準備するのがおすすめです。フードや水は最低でも5日分、できれば7日分以上を目安にすると、流通が止まったときも落ち着いて過ごしやすくなります。

分類 犬の備え 猫の備え
命・健康 フード・水(5〜7日分以上) フード・水(5〜7日分以上)
命・健康 持病の薬・療法食(獣医師に相談) 持病の薬・療法食(獣医師に相談)
運ぶ・保護 リード・ハーネス・ケージ/キャリー キャリー・洗濯ネット・目隠し用の布
排せつ ペットシーツ・うんち袋 携帯トイレ・予備の猫砂
食事 食器(折りたたみ可だと軽い) 食器(折りたたみ可だと軽い)
記録 ワクチン・狂犬病予防接種の記録、写真 ワクチン接種の記録、写真
迷子対策 迷子札・マイクロチップの登録情報 迷子札・マイクロチップの登録情報

写真は、はぐれてしまったときに特徴を伝える手がかりになります。飼い主と一緒に写った写真があると、保護されたペットを引き取る際の確認にも役立ちます。スマートフォンの中だけでなく、紙でも一枚持っておくと、通信が使えないときにも示せます。

迷子になったときの対策はどうすればいいの?

マイクロチップと迷子札を併用し、所有者がすぐ分かる状態にしておくことが基本です。避難の途中ではぐれてしまうと、再会のために手がかりが必要になるため、平常時から「この子の飼い主は誰か」を示せるようにしておきます。

マイクロチップは体内に装着する小さな識別器具で、専用の機器で読み取ると登録された飼い主情報にたどり着けます。装着後は、引っ越しや連絡先の変更があったときに登録情報を更新しておくことが大切です。情報が古いままだと、保護されても連絡が届かないことがあります。装着を検討するときは、かかりつけの獣医師に相談してください。

迷子札は首輪などに付ける名札で、読み取り機がなくても、保護した人がその場で連絡先を確認できる利点があります。マイクロチップと迷子札はどちらか一方ではなく、両方を備えておくと手がかりが増えます。環境省のガイドラインでも、所有者明示(迷子対策)は飼い主が平常時から備えておくこととして挙げられています。

避難所でペットは受け入れてもらえるの?

受け入れの可否や過ごし方は自治体・避難所によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。同行避難ができても、避難所の建物内で一緒に過ごせるとは限らず、屋外のテントや専用スペースでの飼養を求められることもあります。

内閣府の防災情報でも、ペットとの避難については各自治体の取り組みや避難所のルールに沿って行動することが前提とされています。だからこそ、災害が起きてから探すのではなく、平常時にお住まいの市区町村のウェブサイトや防災担当の窓口で、ペットの受け入れ方針を調べておくことが助けになります。

確認しておきたいのは、近くの避難所がペットを受け入れているか、受け入れる場合はどこで飼養するのか、ケージの持参が必要か、といった点です。受け入れが難しい避難所もあるため、次に説明する車中泊や在宅避難といった選択肢も合わせて考えておくと、当日の判断に幅が出ます。情報は更新されることがあるので、最新の内容を自治体で確認してください。

避難所以外に避難先の選択肢はあるの?

車中泊や在宅避難など、状況に応じた選択肢を平常時から考えておくと安心につながります。避難所がペットを受け入れていない場合や、ペットが多くの人がいる環境を強く怖がる場合には、別の過ごし方を検討する余地があります。

自宅の安全が確認できるなら、ライフラインの状況を見ながら自宅で過ごす在宅避難も選択肢のひとつです。建物の損傷や周囲の危険がないかを確かめ、フードや水の備蓄があることが前提になります。車中泊を選ぶ場合は、車内の温度管理に注意が必要で、特に夏場は短時間でも車内が高温になりやすいため、ペットだけを車に残さない配慮が欠かせません。長時間同じ姿勢が続くと飼い主の体調にも影響するため、こまめに体を動かす工夫もしておきましょう。

どの選択肢を選ぶ場合でも、人の安全が最優先です。建物の倒壊や浸水、土砂災害の危険が迫っているときは、ペットの世話より先に、まず自分と家族の命を守る行動をとってください。そのうえで、可能な範囲でペットを連れて避難するという順番を、平常時から家族で共有しておくと、いざというときに迷いが減ります。

よくある質問

Q. 同行避難と同伴避難は何が違いますか。
A. 同行避難は、飼い主がペットと一緒に避難先まで安全に移動する行動を指します。同伴避難は、避難所のなかでペットと同じ空間で過ごせることを指す場合が多く、意味が異なります。同行避難ができても避難所内で一緒に過ごせるとは限らないため、受け入れ方針を自治体で事前に確認してください。

Q. 猫がキャリーを嫌がります。どうすればよいですか。
A. ふだんからキャリーを部屋に出しておき、中でおやつをあげたり安心して眠れる場所にしたりして、少しずつ慣らす方法が知られています。暴れてしまう子は、洗濯ネットに入れてからキャリーへ移すと保護しやすくなります。その子の性格に合わせ、無理のない範囲で進めてください。

Q. ペットのフードや水はどのくらい用意すればよいですか。
A. 最低でも5日分、できれば7日分以上を目安に用意しておくと、流通が止まったときも落ち着いて過ごしやすくなります。食べ慣れたフードを少し多めに備え、薬や療法食が必要な子は、量や種類をかかりつけの獣医師に相談しながらそろえてください。

Q. 避難所はどこでもペットを受け入れてくれますか。
A. 受け入れの可否や過ごし方は自治体・避難所によって異なります。受け入れていない避難所もあり、受け入れる場合も飼養する場所が分かれます。最新の方針をお住まいの自治体で事前に確認し、車中泊や在宅避難も合わせて検討しておくと安心です。

Q. ペットの安全と自分の安全、どちらを優先すべきですか。
A. 人の安全が最優先です。建物の倒壊や浸水などの危険が迫っているときは、まず自分と家族の命を守る行動をとってください。そのうえで、可能な範囲でペットを連れて避難するという順番を、平常時から家族で共有しておくと、当日の判断に迷いが減ります。

まとめ:今日からできる一歩を

犬・猫との避難は、当日の頑張りよりも平常時の準備で決まる部分が大きいと、私は感じています。ケージやキャリーに少しずつ慣らしておくこと、犬はリードとハーネス、猫は洗濯ネットや目隠しで確実に保護できるようにしておくこと、フードや薬、迷子対策をそろえておくこと。そして、避難所の受け入れ方針を自治体で確認し、車中泊や在宅避難という選択肢も持っておくこと。どれも、今日から少しずつ始められることばかりです。

健康や薬、ワクチンに関わる判断は、かかりつけの獣医師に相談しながら進めてください。そして何より、危険が迫ったときは人の安全が最優先です。あなたと大切な家族(ペット)が、いざというときに落ち着いて動けるよう、できることから一歩ずつ備えていきましょう。

🛡 マモルの備えメモ
災害の備えは、完璧を目指すより「続けられること」が大切です。まずはキャリーを部屋に出しておく、迷子札を付ける。その一歩が、いざというときのあなたとペットを守ります。気になったことがあれば、お住まいの自治体の防災情報やかかりつけの獣医師に相談しながら、無理のないペースで進めてください。


【免責事項】本記事は防災に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の状況での対応や、ペットの健康・医療に関する判断を保証するものではありません。ペットの健康・薬・ワクチンに関する判断はかかりつけの獣医師にご相談ください。避難所でのペットの受け入れ可否や避難方法は自治体・避難所によって異なり、内容は変更される場合があります。最新の情報は、お住まいの自治体や公的機関の発表をご確認ください。