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高層マンションの揺れと長周期地震動|高層階の対策を防災士が解説

高層マンションでなぜ揺れが大きく長くなるのか。長周期地震動の仕組みと、家具固定やキャスターのロックなど高層階でできる備えを防災士マモルがわかりやすく解説します。

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高層マンションの上の階に住んでいると、地震のたびに「うちの揺れ方、ほかの家より大きい気がする」と感じることはないでしょうか。私自身、防災士として相談を受けるなかで、高層階ならではの不安をよく耳にします。

その揺れの正体のひとつが、長周期地震動です。高い建物が、ゆっくり大きく、そして長く揺れる現象で、震源から遠く離れた大きな地震でも起こることがあります。この記事では、なぜ高層階ほど揺れが大きく長くなりやすいのか、そして今日からできる備えを、二児の親でもある私の目線でまとめました。最新情報の確認日は2026-06-27です。

長周期地震動とは何ですか?

大きな地震で生じる、ゆっくりとした周期の長い揺れのことを長周期地震動といいます。揺れが一往復するのにかかる時間(周期)が長く、高い建物ほど共振して大きく揺れやすいのが特徴です。

気象庁によると、長周期地震動は遠くまで伝わりやすい性質があり、地震が起きた場所から数百km離れたところでも、大きく長く揺れることがあるとされています。震源が遠いから安心、とは言い切れないということです。揺れがゆっくりしているため、立っているのがつらくなったり、家具が大きく動いたりすることもあります。

近くで起きる短くガタガタした揺れとは性質が違い、高層マンションに住む人にとっては特に知っておきたい現象だと私は考えています。

たとえば、過去の大きな地震では、震源から数百km離れた都市の高層ビルでも、長く続くゆったりした揺れによって室内が大きく乱れた事例が報告されています。短い揺れなら数十秒でおさまることが多いのに対し、長周期地震動では揺れがしばらく続き、人によっては数分間揺れを感じることもあります。揺れている時間が長い分、家具が少しずつ動いて大きく移動してしまう、という起き方をするのも特徴です。

地面が激しく上下するというより、建物全体が横にゆっくり大きく往復するイメージで、立っているとふらつきやすくなります。だからこそ、揺れの最中に慌てて動くより、その場で身を守る判断が大切になってきます。

なぜ高層階ほど揺れが大きく長くなりやすいのですか?

建物には、それぞれ揺れやすい固有の周期があり、高い建物ほどその周期が長くなる傾向があります。長周期地震動の周期と建物の固有周期が近いと、揺れが重なり合って増幅し、上の階ほど大きくゆっくり揺れやすくなります。

少しイメージしやすいように言い換えると、長い棒の先ほど大きくしなって揺れるのと似ています。建物の高い位置にいるほど、その動きの幅が大きくなりやすいということです。低層階では小さく感じた揺れが、高層階では船に乗っているような横揺れになることもあります。揺れがおさまった後も、建物がしばらくゆらゆらと揺れ続けることがあり、人によっては数分間にわたって揺れを感じる場合もあります。

ただし、どのくらい揺れるかは建物の構造や地盤、地震の規模や震源の位置によって大きく異なります。同じマンションでも、階や住戸の位置で感じ方が変わることもあるため、「この階だから必ずこう揺れる」と単純に決めつけられるものではありません。

また、新しい高層マンションには、揺れを抑えるための制振や免震といった構造が採用されている場合があります。こうした構造は揺れをやわらげる働きが期待されますが、それでも長周期地震動による揺れがまったくなくなるわけではありません。構造に頼り切るのではなく、室内の備えと組み合わせて考えることを私はおすすめしています。自分の住むマンションの構造や、防災に関する取り決めは、管理規約や管理会社の案内で一度確認しておくと安心材料になります。

気象庁の長周期地震動階級とは何ですか?

長周期地震動階級は、高層ビル内での人の行動の難しさや、家具などの移動・転倒の程度をもとに、揺れの大きさを4つの段階に区分した指標です。気象庁が定めており、階級1から階級4まであります。

階級が上がるほど、立っているのが難しくなったり、固定していない家具が大きく動いたりする傾向が示されています。気象庁によると、この階級は地表や低層階の観測データから、その場所に高層ビルがあれば高層階でどう揺れるかを推計したものとされています。

なお気象庁は、2023年2月1日から、緊急地震速報の発表基準に長周期地震動階級を加え、階級3以上が予想される場合にも警報を発表しています。これにより、高層階に大きな揺れが予想されるときに、テレビやスマートフォンの速報で知らせを受け取れる場面が増えました。速報が出たら、まず身を守る行動に移ることを意識しておくと、いざというときに動きやすくなります。

階級ごとの被害想定はあくまで目安であり、実際の被害は建物や場所によって異なる点には注意が必要です。同じ階級でも、家具の固定状況や部屋の片づき具合で、室内の様子は大きく変わってきます。階級の数字だけで安心したり過度に不安になったりするより、自分の部屋の備えを整えておくことのほうが、私は実際の役に立つと考えています。

高層階では地震のときどんな危険がありますか?

長周期地震動の大きな横揺れによって、室内ではいくつかの危険が起こりやすくなります。代表的なものを整理しました。

起こりやすいこと 具体的な内容
家具・家電の移動 キャスター付きの家具や冷蔵庫が、部屋を横切るほど大きく動くことがある
転倒・落下 固定していない棚やテレビが倒れる、上に置いた物が落ちる
割れ物の飛散 食器やガラス製品が棚から飛び出して割れる
エレベーターの停止 安全装置が働いて停止し、復旧まで時間がかかることがある
体調の変化 長く続く揺れで、船酔いのような気持ち悪さやめまいを感じることがある

特にキャスター付きの家具や家電は、ロックをかけていないと大きく動いて、けがや避難の妨げにつながることがあります。私の家でも、ベッドや収納ワゴンのキャスターは普段からロックしておくよう家族で決めています。

加えて、長く揺れが続くと、立っていられずに転んでしまったり、移動しようとしてつまずいたりするリスクも高まります。床に物が散乱すると、避難の通り道がふさがれてしまうこともあります。揺れそのものでけがをするだけでなく、揺れの後に動くときの安全も考えて、寝る場所や出入口のまわりは特に物を減らしておくとよいでしょう。私は寝室に背の高い家具を置かないようにしており、これは家族みんなで守っているルールです。

高層階の揺れ対策チェック表(今日からできる備え)

ここまでの危険をふまえて、高層階でできる備えをチェック表にまとめました。すべてを一度にそろえる必要はなく、できるところから一つずつで構いません。

チェック項目 ポイント
□ 背の高い家具を固定する 突っ張り棒タイプとL字金具などを組み合わせると効果が上がる
□ キャスターをロック・ストッパーで止める 移動させない家具はロックし、必要に応じてストッパーを併用する
□ 家具の配置を見直す 寝る場所や出入口の近くに、倒れて塞ぐ家具を置かない
□ 落下物対策をする 棚の上の重い物を下ろす、扉に開き防止具を付ける
□ 割れ物を低い位置に収納する 食器やガラス製品は低い棚へ、滑り止めシートを敷く
□ 飲料水・食料を備える エレベーター停止で買い物に出にくくなる前提で多めに用意する
□ 在宅避難の準備をする 高層階では在宅避難になりやすい。トイレ対策や明かりも備える

固定具やストッパーは、組み合わせて使うことで効果が高まる一方、単独では大きな揺れで動くこともあります。製品ごとに対応する重さや設置面が決まっているため、説明書を確認して使うことをおすすめします。

家具固定の具体的なやり方は、関連記事もあわせて参考にしてください。

エレベーターが止まったときはどうすればよいですか?

地震でエレベーターが停止し、中に閉じ込められた場合は、扉を無理にこじ開けようとせず、操作盤の非常用ボタンやインターホンで連絡してください。むやみに動くと、かえって危険な場合があります。

近年のエレベーターには、地震を感知すると最寄り階に停止して扉を開く管制運転がついているものもありますが、すべての建物に備わっているとは限りません。停電で停止することもあります。けが人がいる場合や体調が悪い場合は、ためらわず119番に連絡してください。

高層階では、地震後にエレベーターがしばらく使えなくなることを前提に、階段での上り下りも想定して水や食料を備えておくと安心材料が増えます。私は飲料水を多めにストックし、定期的に賞味期限を見直すようにしています。

外出していて家族がエレベーターに乗っているときに地震が起きる、という状況も考えられます。ふだんから「地震のときエレベーターが止まったら、扉はこじ開けず非常ボタンを押す」という対応を家族で共有しておくと、いざというとき落ち着いて動きやすくなります。小さなお子さんには、ボタンの場所と「閉じ込められても助けが来るから大丈夫」という安心を、無理に怖がらせない範囲で伝えておくとよいと私は考えています。

揺れを感じたときはまず何をすればよいですか?

揺れの最中は、無理に動こうとせず、まず自分の身の安全を守ることが基本です。丈夫な机の下に入る、頭を保護する、家具から離れるなど、その場でできる行動を優先してください。

慌てて火を消しに行ったり、玄関へ走ったりすると、転倒や落下物でけがをするおそれがあります。長周期地震動はゆっくり長く続くため、立って移動するのが難しくなることもあります。揺れがおさまってから、火の元の確認や避難の判断など、次の行動に移るようにしてください。

賃貸にお住まいの場合、壁にネジで固定する器具を使うときは、原状回復の取り決めがあることが多いため、事前に管理会社や規約を確認しておくと後のトラブルを避けやすくなります。突っ張り棒タイプや粘着マットなど、壁を傷つけにくい方法もあわせて検討してみてください。

消防庁や東京消防庁の資料でも、家具類の転倒・落下・移動を防ぐ対策が、地震時のけがを減らすうえで重要だと示されています。揺れの最中に身を守れるかどうかは、ふだんの部屋づくりに大きく左右されます。慌てて動かなくてもよいように、寝ているときに上から物が落ちてこない配置にしておく、出入口をふさがないようにしておく、といった準備を整えておくことが、揺れの最中の安全につながると私は実感しています。

揺れ酔いや気持ち悪さへの対策はありますか?

長く続く横揺れで、船酔いのようなめまいや吐き気を感じることがあります。これは、揺れによって平衡感覚が乱れることが一因と考えられています。

揺れがおさまった後も体調がすぐれないときは、無理に動かず、座って休んだり、窓を開けて空気を入れ替えたりすると楽になることがあります。水分をとってゆっくり過ごすのもよいでしょう。症状が強い場合や続く場合は、我慢せずに医療機関へ相談してください。

小さなお子さんや高齢の家族がいる場合は、揺れの最中に怖がってパニックにならないよう、日ごろから「揺れたらまず頭を守ろうね」と声をかけ合っておくことを、私は家族で続けています。

高層階で在宅避難に備えるには何が必要ですか?

高層マンションでは、地震の後にエレベーターが止まったり、断水や停電が起きたりして、自宅にとどまる在宅避難になりやすい傾向があります。上り下りの負担を考えると、外への買い出しに頼りきらない備えが安心につながります。

私が家族のために用意しているのは、飲料水と長期保存できる食料、簡易トイレ、明かりになる懐中電灯やランタン、そしてモバイルバッテリーです。内閣府の防災情報でも、家庭で一定量の備蓄をしておくことがすすめられています。水は1人1日3リットルを目安に、数日分から少しずつ増やしていくと負担になりにくいです。

特に高層階では、断水時にトイレが使えなくなる困りごとが起こりやすいため、簡易トイレの備えは早めにそろえておくことをおすすめします。重い物を運び上げる負担も考え、こまめに少量ずつ買い足す方法が続けやすいと感じています。

よくある質問

Q. 長周期地震動は震源が遠ければ大丈夫ですか?

A. 遠ければ安心とは言い切れません。長周期地震動は遠くまで伝わりやすく、数百km離れた大きな地震でも高層階が大きく長く揺れることがあると気象庁は説明しています。

Q. 家具を固定すれば絶対に倒れませんか?

A. 固定すれば倒れにくくなりますが、大きな揺れでは動くこともあります。突っ張り棒とL字金具を組み合わせるなど複数の方法を併用すると効果が上がりやすく、単独の対策に頼り切らないことが大切です。

Q. キャスター付きの家具はどう備えればよいですか?

A. 普段からロックをかけ、移動させたくない家具はストッパーを併用してください。キャスターは便利な反面、揺れで大きく動いてけがや避難の妨げになることがあります。

Q. 賃貸でも壁に固定具を付けられますか?

A. 規約によります。ネジで固定する器具は原状回復の取り決めに関わることが多いため、事前に管理会社や規約を確認してください。突っ張り棒や粘着マットなど壁を傷つけにくい方法もあります。

Q. エレベーターに閉じ込められたらどうすればよいですか?

A. 扉を無理にこじ開けず、非常用ボタンやインターホンで連絡してください。けが人がいる場合は119番へ。地震後はしばらく使えなくなることも想定して、水や食料を備えておくと安心です。

まとめ

高層マンションの大きく長い揺れの背景には、長周期地震動があります。高層階ほど揺れが大きく長くなりやすく、家具の移動やエレベーター停止、揺れ酔いといった高層階ならではの注意点があります。揺れの最中はまず身の安全を守り、おさまってから行動することが基本です。

家具やキャスターの固定、配置の見直し、落下物・割れ物対策は、組み合わせることで効果が上がります。完璧を目指すより、今日できる一歩から始めてみてください。

🛡 マモルの備えメモ

私のおすすめは、今夜のうちに「動いたら危ない家具」を一つだけ決めて、キャスターのロックや固定を見直すことです。一つ済めば、次の週末にもう一つ。その積み重ねが、いざというときの落ち着きにつながります。ご家族で「揺れたらまず頭を守る」を合言葉にしておきましょう。


【免責事項】本記事は一般的な防災情報の提供を目的としています。長周期地震動階級や被害の想定は建物や場所によって異なり、記載の対策がすべての状況で同じ効果を保証するものではありません。揺れの最中は無理に動かず身の安全を確保し、おさまってから行動してください。けがや体調不良の際は119番または医療機関へご相談ください。最新の情報は気象庁など公的機関の発表をご確認ください(確認日 2026-06-27)。

【参考にした主な一次情報】
- 気象庁「長周期地震動について」
- 気象庁「長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について」
- 内閣府 防災情報のページ
- 消防庁・東京消防庁(家具類の転倒・落下・移動防止対策)