賃貸でできる防災対策|原状回復を守りながら備える方法【2026年版】
賃貸住宅でも壁を傷つけずに防災はできます。防災士マモルが、ネジを使わない家具固定、原状回復と管理規約の確認、収納が少ない部屋の備蓄、共用部チェックまで、今日からできる一歩を解説します。
本記事はプロモーションを含みます。
賃貸だから防災は難しい、と感じている方は多いと思います。壁にネジを打てない、退去時にお金がかかりそう、収納も少ない。私自身も賃貸住まいの時期が長く、同じ悩みを持っていました。
私は防災士として地域の防災講座に関わり、二人の子どもを育てる親でもあります。結論からお伝えすると、賃貸でも壁を傷つけずにできる防災対策はたくさんあります。完璧を目指さなくて大丈夫です。今日からできる一歩を、一緒に確認していきましょう。
この記事では、ネジを使わない家具固定、原状回復のルール、収納が少ない部屋での備蓄、共用部の確認まで、賃貸ならではの工夫を順番に整理しました。最新の確認日は2026-06-27です。料金や制度は変わることがあるため、契約の詳細はご自身の賃貸借契約書と管理会社で確認してください。
そもそも賃貸で防災対策はできるのですか?
できます。壁に穴を開けない方法だけでも、家具固定・備蓄・避難経路の確認といった基本はひと通り整えられます。
地震で命を脅かすものの一つが、倒れてくる家具です。東京消防庁によると、近年の地震では負傷者の多くが家具類の転倒・落下・移動によるものでした。賃貸であっても、ここに手を打つ価値は大きいです。
賃貸でできることを大きく分けると、次の4つになります。
- 家具の固定(ネジを使わない方法を中心に)
- 飲料水・食料・トイレなどの備蓄
- 共用部や避難経路の確認
- ガラスの飛散防止
どれも特別な工事は不要です。順番に見ていきましょう。
ネジを使わない家具固定にはどんな方法がありますか?
突っ張り棒(ポール式)、ストッパー式、粘着マット式、ジェルパッド(粘着式)などがあり、壁や家具に穴を開けずに使えます。それぞれ単体では効果に限界がある点を、先に正直にお伝えします。
東京消防庁は、震度6強の揺れを再現した実験をもとに対策の効果を示しています。最も効果が高いのはL型金具をネジで固定する方法ですが、賃貸では使いにくい場合があります。そこで穴を開けたくない方には、器具を2つ以上組み合わせる方法が案内されています。具体的には、ポール式と、ストッパー式またはマット式を組み合わせると、L型金具と同等の効果が期待できるとされています。
ここが大切なところです。突っ張り棒だけ、マットだけでは、単体での効果は限定的です。組み合わせることで安心度が上がる、と理解してください。
賃貸でできる家具固定チェック表
| 方法 | 壁を傷つけるか | 効果(目安) | 向く家具 |
|---|---|---|---|
| 突っ張り棒(ポール式) | 開けない | 単体では限定的。天井が弱いと効きにくい | 背の高い棚・本棚・食器棚 |
| ストッパー式 | 開けない | 単体では限定的。家具手前下に差し込み転倒を遅らせる | 食器棚・タンス |
| 粘着マット式 | 開けない | 単体では限定的。家具底面に貼り滑りを抑える | テレビ・電子レンジ・タンス |
| ジェルパッド(粘着式) | 開けない | 単体では限定的。小型家電や置物のずれ防止向き | 小型家電・花瓶・置物 |
| L型金具(ネジ固定) | 開ける(要確認) | 最も高い | 大型の棚・タンス全般 |
突っ張り棒を使うときは、天井の構造に注意が必要です。天井が薄い板だと、棒が天井を押し上げてしまい効きが弱くなります。棚の上に天井との間に板を渡してから突っ張ると安定しやすくなります。ポール式は壁側(部屋の奥側)に設置するのが基本です。
これらの器具は製品によって適合する家具のサイズや重さが異なります。製品が必ず転倒を防ぐと断言はできません。パッケージの表示を確認し、無理のない範囲で使ってください。
壁にネジを打つと退去時の負担はどうなりますか?
ネジ穴は借主負担となる可能性が高いため、打つ前に管理規約と大家・管理会社へ事前確認することを強くおすすめします。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復は入居時の状態に完全に戻すことではなく、借主の故意・過失や通常の使用を超える損傷を借主が負担する、という考え方が示されています。ガイドライン上、壁に重い物をかけるためのネジやクギの穴は、下地のボードまで傷つけることが多く、借主負担とされる例として挙げられています。一方で、画びょうやピン程度の小さな穴は通常の使用の範囲とされ、貸主負担と整理される場合があります。
ここで二つ、正直にお伝えしたいことがあります。
一つ目は、ガイドラインはあくまで指針であり、最終的な負担は賃貸借契約書の特約や個別の状況によって変わるという点です。二つ目は、家具固定のように命を守るための工事であっても、無断で穴を開けてよいわけではないという点です。安全のためでも、事前に管理会社へ相談するのが安心です。
迷ったら、まずネジを使わない方法から始める。どうしてもネジ固定が必要な大型家具がある場合は、管理会社に「地震対策で家具を固定したい」と相談する。この順番がおすすめです。
収納が少ない部屋ではどう備蓄すればよいですか?
ローリングストックで日常の食品を少し多めに持ち、分散収納と省スペース備蓄で乗り切るのがおすすめです。
内閣府は、大規模災害に備えて家庭で1週間分以上の備蓄を推奨しています。難しい場合でも、まずは最低3日分から始めて構いません。一人暮らしなら水9リットル(1日3リットル×3日)、食料9食分が一つの目安です。
ローリングストックは、ふだん食べているレトルトや缶詰、無菌パックのごはんなどを少し多めに買い、食べたら買い足す方法です。賞味期限の管理がしやすく、収納が少ない部屋でも続けやすいのが利点です。
収納が少ない部屋では、次の工夫が役立ちます。
- ベッドの下、ソファ下、クローゼットの隙間に分散して収納する
- 1か所にまとめず、玄関近くにも非常持ち出し袋を置く
- 水は2リットルと500ミリリットルを混ぜ、置き場所を分散する
- 普段使いの収納ボックスを「災害時にも使うもの」と兼用する
備蓄は食料と水だけではありません。停電・断水を想定すると、携帯トイレ、モバイルバッテリー、懐中電灯、常備薬も大切です。特に携帯トイレは見落とされがちですが、断水時の在宅避難で大きな差が出ます。マンションでは断水時にトイレが流せなくなることがあり、一人あたり1日5回分を目安に用意しておくと安心です。
賞味期限の管理が苦手な方は、半年に一度、季節の変わり目に中身を点検する日を決めておくと続けやすくなります。私は衣替えのタイミングで備蓄も見直すようにしています。買い置きしている缶詰やレトルトの期限が近いものから日常の食事で使い、使った分を買い足す。この小さな循環を回すだけで、いざというときに「期限切れで食べられない」という事態を防げます。
共用部で確認しておくべきことは何ですか?
避難経路・消火器・火災報知器・避難はしごの位置を、入居後すぐに歩いて確認しておくことが大切です。
私は引っ越したら必ず、廊下と階段を実際に歩いて避難経路を確かめます。暗い中でも動けるよう、足元の段差や曲がり角を体で覚えておくためです。
共用部で確認したいポイントは次のとおりです。
- 廊下や階段に避難の妨げになる私物が置かれていないか
- 消火器の位置と、最寄りの避難階段はどこか
- マンションの場合、エレベーターが止まったときの階段ルート
- 自動火災報知設備や非常ベルの位置
集合住宅では、共用部に物を置くことが規約で禁じられている場合があります。自分の安全のためにも、避難経路をふさがない使い方を心がけたいところです。
あわせて、家族や同居人とは「外で被災したらどこで落ち合うか」を一度話しておくと安心です。災害時は電話がつながりにくくなります。集合場所と、災害用伝言ダイヤルの使い方を共有しておくだけで、再会までの不安がぐっと減ります。賃貸でも、こうした事前の取り決めはお金をかけずに今日できる備えです。
ベランダの避難ハッチや隔て板は使ってよいのですか?
避難時には隣戸との隔て板を破って通り抜けたり、避難ハッチを開けて下階へ降りたりできる構造になっています。日頃から前に物を置かないことが重要です。
集合住宅のベランダにある薄い仕切り板(隔て板)は、緊急時に蹴破って隣の住戸へ避難するためのものです。その前に棚やプランターを置いてしまうと、いざというときに避難経路をふさいでしまいます。
床にある四角いフタが避難ハッチです。下階へ降りるはしごが格納されており、ここも上に物を置かないことが大前提です。賃貸であっても、これらは命にかかわる共用の避難設備です。位置と使い方を一度確認しておきましょう。
ベランダを収納がわりに使いたくなる気持ちは私もよく分かります。それでも、避難ハッチと隔て板の前だけは、必ず空けておいてください。
ガラスの飛散防止は賃貸でもできますか?
賃貸でも貼れる飛散防止フィルムがあり、窓ガラスが割れたときの破片の飛び散りを抑える助けになります。
地震や台風で窓ガラスが割れると、床に飛び散った破片でけがをしやすくなります。停電で暗い中を歩くと、なおさら危険です。飛散防止フィルムは、ガラスが割れても破片が飛び散りにくくする役割があります。
賃貸で使う際の注意点です。
- 貼ってはがせるタイプ、再剥離しやすいタイプを選ぶと退去時に安心
- フィルムののり跡が残る場合があるため、心配なら管理会社に確認
- 製品によって対応するガラスの種類が異なるため表示を確認
フィルムを貼れば絶対に割れない、けがをしない、ということではありません。あくまで被害を軽くする補助です。寝室の窓や、人がよく通る場所の窓から優先して検討するとよいと思います。窓のそばにスリッパや厚手の靴を置いておくと、割れたガラスの上を歩くときに足を守れます。
今日からできる優先順位はどうつければよいですか?
寝ている場所の安全確保を最優先に、家具固定→備蓄→避難経路確認の順で進めるのがおすすめです。
地震は寝ている間に起きることもあります。まず、寝室で倒れてくる家具がないかを確認してください。背の高い家具は寝床から離す、向きを変える、それだけでも安全度が上がります。
おすすめの進め方です。
- 第1歩 寝室の家具の配置を見直す(倒れても体に当たらない向きに)
- 第2歩 突っ張り棒とストッパーなど、ネジを使わない固定を組み合わせる
- 第3歩 水と食料を3日分そろえ、携帯トイレを用意する
- 第4歩 避難経路と共用部を歩いて確認する
- 第5歩 飛散防止フィルムなど、できる範囲で追加していく
一度に全部やろうとすると続きません。週末ごとに一つずつで十分です。私も最初は突っ張り棒1本から始めました。
よくある質問
Q. 賃貸で壁にネジを打って家具を固定したら、退去時に必ず請求されますか?
A. 必ずとは言えませんが、ネジ穴は下地まで傷つけることが多く、借主負担になる可能性が高いです。国土交通省のガイドライン上もそう整理される例があります。打つ前に管理会社へ相談するのが安心です。
Q. 突っ張り棒だけで地震対策は十分ですか?
A. 単体では効果が限定的です。東京消防庁は、ポール式とストッパー式またはマット式を組み合わせると、ネジで留めるL型金具と同等の効果が期待できると案内しています。組み合わせることをおすすめします。
Q. 収納が少なくて備蓄を置く場所がありません。どうすればよいですか?
A. ベッド下やソファ下、クローゼットの隙間に分散して収納する方法があります。ローリングストックなら日常の食品を少し多めに持つだけなので、専用スペースがなくても続けやすいです。
Q. ベランダに棚やプランターを置いてもよいですか?
A. 隔て板や避難ハッチの前は必ず空けてください。緊急時に隣戸へ避難したり下階へ降りたりするための共用設備です。規約で物置きが禁止されている場合もあるため、契約書を確認してください。
Q. 飛散防止フィルムを貼ると退去時に問題になりませんか?
A. 貼ってはがせるタイプや再剥離しやすいタイプを選ぶと安心です。のり跡が残る心配があれば、貼る前に管理会社へ確認してください。製品の対応ガラスも表示で確認しましょう。
まとめ
賃貸でも、壁を傷つけずにできる防災はたくさんあります。ネジを使わない固定は組み合わせると安心度が上がること、ネジ穴は事前確認が必要なこと、収納が少なくてもローリングストックと分散収納で備蓄できること。どれも今日から始められます。
完璧でなくて構いません。寝室の家具を1つ見直す、突っ張り棒を1本立てる。その小さな一歩が、いざというときにあなたと家族を守ります。
なお、大きなけがをしたときや火災のときは、ためらわず119番に連絡してください。
🛡 マモルの備えメモ
私も賃貸時代、突っ張り棒1本から始めました。まずは寝ている場所の安全から、一緒に整えていきましょう。次の週末に、一つだけ手をつけてみてください。
免責事項:本記事は2026-06-27時点の公的情報をもとに、一般的な防災対策の考え方を解説したものです。原状回復の負担や管理規約の内容は物件・契約により異なります。実際の対策や契約に関する判断は、賃貸借契約書の確認および大家・管理会社への相談のうえで行ってください。製品の効果を保証するものではありません。
参考にした主な一次情報
- 内閣府 防災情報のページ(家庭の備蓄)https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/73/bousaitaisaku.html
- 東京消防庁 家具類の転倒・落下・移動防止対策 https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/contents/jishin/contents03_6.html
- 国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html