首都直下地震の備えは何をする?防災士が今日からの一歩を解説
首都直下地震の備えは何をすればいいのか、防災士のマモルが家庭の備蓄・家具固定・帰宅困難への対応・安否確認をやさしく整理します。今日からできる一歩を落ち着いて確認しましょう。
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「首都直下地震に備えて、結局のところ何をすればいいのか」。そう感じている方は多いと思います。テレビやニュースで「30年以内」という言葉を聞くたびに不安になるのに、いざ何から手をつけるかとなると手が止まってしまう。私自身も防災士として相談を受けるなかで、いちばん多いのがこの声です。
私はマモルといいます。防災士として地域の防災活動に関わりながら、二人の子どもを育てている35歳の親です。この記事では、首都圏に住む方や通勤する方に向けて、首都直下地震への備えを「今日からできる一歩」に分解してお伝えします。脅すためではなく、落ち着いて手を動かせるように整理することが目的です。
なお、地震がいつ起きるかを正確に予測することは、現在の科学ではできません。確率や時期を言い切る情報には注意しながら、できる準備を一つずつ進めていきましょう。
首都直下地震とはどんな地震?
首都直下地震とは、首都圏の直下を震源として想定される大きな地震の総称です。政府の地震調査研究推進本部は、南関東でマグニチュード7程度の地震が今後30年以内に発生する確率を「70%程度」と評価しています。これは「必ず起きる」「いつ起きる」と言い切れる数字ではなく、あくまで長期的な評価です。私はこの数字を、怖がるためではなく、準備を後回しにしない理由として受け止めています。
想定されている被害には、強い揺れ、建物の倒壊、同時多発・延焼する火災、電気・ガス・水道・通信といったライフラインの停止、そして大量の帰宅困難者があります。中央防災会議の報告書では、条件によって死者が最大で約1万8千人、全壊・焼失する建物が最大で約40万棟と想定されています。数字の大きさに圧倒されるかもしれませんが、これらは「想定」であり、一人ひとりの備えで減らせる部分が確かにあります。
揺れやすさ、火災の起こりやすさ、浸水の想定は、地域によって大きく違います。お住まいの地域がどんな想定なのかは、後ほど触れるハザードマップで確認するのが確実です。
首都直下地震はいつ起きる?時期は予測できる?
結論からお伝えすると、首都直下地震がいつ起きるかを正確に予測することはできません。「○年に起きる」「もうすぐ来る」といった断定的な情報は、根拠が乏しいことが多いので、私は鵜呑みにしないようにしています。
確かなのは、長期的な評価として発生する可能性が高い水準にあるということだけです。だからこそ、「いつ来るか」を当てようとするより、「いつ来ても困らない状態」を少しずつ作っておくほうが現実的です。今日できることを一つ進める。明日もう一つ進める。その積み重ねが、予測できない地震に対するいちばん落ち着いた向き合い方だと考えています。
不安をあおって高額な商品を勧めるような情報には、距離を置いてください。必要なのは、特別な道具ではなく、家のなかの小さな見直しから始める姿勢です。
首都直下地震の備えで最初にやることは?
最初の一歩としておすすめしたいのは、家具の固定と、玄関までの避難経路の確保です。大きな揺れではタンスや本棚、冷蔵庫が倒れ、けがの原因になります。寝室や子ども部屋など、長く過ごす場所から優先して固定していくと、限られた時間でも効果を感じやすいです。
何から手をつけるか迷う方のために、優先順位をつけた表を用意しました。上から順に取り組むと、無理なく進められます。
| 優先度 | やること | ねらい | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 寝室・居間の家具固定(突っ張り棒・固定金具) | 倒れてくる家具でのけがを防ぐ | まず今週中に |
| 2 | 避難経路の確保(廊下・玄関に物を置かない) | 揺れの後すぐ外へ出られるように | 今週中に |
| 3 | 飲料水・食料の備蓄(後述の量を目安に) | ライフライン停止に備える | 今月中に |
| 4 | 安否確認の方法を家族で決める | 連絡が取れない時の不安を減らす | 今月中に |
| 5 | 住宅の耐震の確認・相談 | 倒壊リスクそのものを下げる | 数か月かけて |
すべてを一度にやろうとすると続きません。私は「週に一つ」を合言葉に、家族で分担しています。完璧を目指さず、できたところから前に進めれば十分です。
家庭の備蓄はどのくらい必要?
首都直下地震では、電気・ガス・水道・物流が広い範囲で止まり、復旧に時間がかかる可能性があります。そのため家庭の備蓄は、最低でも3日分、できれば1週間以上を目安にしておくことが望ましいとされています。買い物に行けない日が続いても、自宅で過ごせる状態をつくっておくという考え方です。
備える量の目安を整理します。家族の人数や体質に合わせて調整してください。
| 品目 | 1人あたりの目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 1日3リットル × 7日分 | 調理・歯みがきにも使う |
| 主食(レトルト・乾麺・缶詰など) | 7日分 | 加熱不要のものも混ぜる |
| カセットコンロ・ボンベ | ボンベ複数本 | ガス停止時の調理用 |
| 携帯トイレ | 1日5回 × 7日分 | 水が止まると特に重要 |
| 常備薬・救急用品 | 1週間分以上 | 持病の薬は多めに |
| モバイルバッテリー・乾電池 | 家族の台数分 | 連絡・情報収集の命綱 |
特別なものをそろえる必要はありません。私の家では、ふだん食べる缶詰やレトルトを少し多めに買い、使ったら買い足す方法を続けています。古いものから消費していけば、賞味期限切れも防げます。市販の防災セットを使う場合も、中身が自分の家族構成に合っているかを必ず確認してください。製品があれば安心というわけではなく、何が入っているかを把握しておくことが大切です。
在宅避難に備えて家でできることは?
首都直下地震では、自宅の安全が保たれていれば、避難所へ行かず自宅で過ごす「在宅避難」が基本の選択肢になります。避難所は混雑し、物資や場所が限られることが想定されるため、自宅で過ごせる人が自宅にとどまることは、自分にとっても周囲にとっても助けになります。
在宅避難を可能にするには、まず家が倒れないこと、家具が凶器にならないことが前提です。そのうえで、水・食料・トイレ・明かり・情報の手段を自宅にそろえておきます。停電に備えてランタンやヘッドライトを用意し、断水に備えて携帯トイレを準備しておくと、ライフラインが止まっても在宅で耐えやすくなります。
ただし、建物に大きな被害が出た場合や、火災・浸水の危険が迫った場合は、無理をせず避難所や安全な場所へ移ってください。在宅避難はあくまで「自宅が安全なとき」の選択です。自宅周辺の危険性は、自治体のハザードマップで前もって確認しておきましょう。
帰宅困難になったらどう行動する?
外出先で被災して交通機関が止まったとき、いちばん大切なのは「むやみに移動しない」ことです。発災直後に多くの人が一斉に歩いて帰ろうとすると、道路が混雑し、救急車や消防車の通行をさまたげます。さらに余震や建物・看板の落下、人混みでの将棋倒しなど、移動そのものに危険が伴います。
国や東京都は、災害発生時に一斉帰宅を控えるよう呼びかけています。会社や学校にいる場合は、原則として施設内にとどまり、状況が落ち着くのを待つことが基本です。外出中で行き場がない場合は、駅周辺などに設けられる「一時滞在施設」を利用し、安全を確保しながら情報を集めます。
帰宅困難時にとる行動を、順を追って整理しました。慌てて動き出す前に、この流れを思い出してください。
| 段階 | 行動 | 理由 |
|---|---|---|
| 直後 | その場で身の安全を確保し、落下物から離れる | まず自分がけがをしない |
| 数分後 | 周囲の状況と公式情報を確認する | 思い込みで動かない |
| しばらく | 職場・学校・一時滞在施設にとどまる | 一斉帰宅の混乱と危険を避ける |
| 落ち着いてから | 家族と安否を確認する | 連絡手段は事前に決めておく |
| 安全が確認できてから | 安全な経路を選んで移動を検討する | 余震や火災を避けて判断する |
私は通勤かばんに、歩きやすい靴の替えと携帯トイレ、モバイルバッテリーを入れています。「すぐ帰る」ためではなく、「とどまる時間を安全に過ごす」ための備えです。
家族との安否確認はどう決めておく?
地震の直後は電話がつながりにくくなります。だからこそ、連絡が取れない前提で、安否を確かめる方法を家族であらかじめ決めておくことが欠かせません。決めていないと、お互いを探して危険な場所へ向かってしまうことがあります。
具体的には、災害用伝言ダイヤル(171)や、各通信会社の災害用伝言板の使い方を、家族みんなで一度試しておきます。あわせて、連絡がつかない場合に「どこで落ち合うか」「自宅が無事なら帰らずとどまるか」といった行動の約束も決めておくと安心です。遠くに住む親戚を中継役にして、それぞれが安否を伝える方法も有効です。
子どもがいる家庭では、学校や保育園の引き取りルールも確認しておきましょう。我が家では年に一度、家族で171を試す日を決めています。手順を体が覚えていると、いざというときに迷いません。
住宅の耐震はどう確認すればいい?
どれだけ備蓄をそろえても、家そのものが倒れてしまっては在宅避難はできません。だからこそ、住宅の耐震性を確認することは、首都直下地震の備えのなかでも重要度の高い項目です。
1981年(昭和56年)より前の古い基準で建てられた住宅は、現在の耐震基準を満たしていない場合があります。お住まいの建物がいつ建てられたかを確認し、心配があれば、自治体の耐震診断・耐震改修の制度を調べてみてください。多くの自治体が補助制度を設けています。賃貸の場合も、建物の築年数や管理状況を把握しておくと判断の材料になります。
耐震改修はすぐに結論を出せるものではありませんが、まずは「自分の家がどの程度の備えになっているか」を知ることが第一歩です。専門家に相談しながら、無理のない範囲で進めていきましょう。
地域ごとの危険性はどう調べる?
首都圏といっても、揺れやすさや火災の起こりやすさ、浸水の想定は地域によって大きく異なります。自分の住む場所、働く場所の危険性を知るには、自治体が公開しているハザードマップを確認するのが確実です。
ハザードマップでは、想定される揺れの強さ、火災が広がりやすい地域、浸水のおそれがある範囲などを地図で見られます。自宅と職場、子どもの学校、よく通る道について調べておくと、避難経路や一時滞在施設の見当をつけやすくなります。私は家族で一度、自宅周辺のハザードマップを一緒に見ながら、危ない場所と安全な場所を確認しました。
被害想定や帰宅困難者対策の内容は、見直されていくことがあります。最新の情報は、内閣府防災や東京都、お住まいの自治体の公式サイトで確認してください。本記事の内容は2026年6月27日時点の公開情報をもとにしています。
よくある質問
Q. 首都直下地震はいつ起きると予測されていますか。
A. いつ起きるかを正確に予測することはできません。政府の地震調査研究推進本部は、南関東でマグニチュード7程度の地震が今後30年以内に発生する確率を「70%程度」と評価していますが、これは長期的な評価であり、時期を言い切るものではありません。
Q. 備蓄は何日分そろえればよいですか。
A. 最低でも3日分、できれば1週間以上を目安にするのが望ましいとされています。ライフラインの復旧や物流の回復に時間がかかる可能性があるため、自宅で過ごせる量を少し多めに準備しておくと安心です。
Q. 地震が起きたとき、すぐ歩いて帰ったほうがよいですか。
A. 発災直後はむやみに移動せず、一斉帰宅を控えてください。職場や学校、駅周辺の一時滞在施設にとどまり、道路の混乱や余震、人混みでの転倒といった危険が落ち着くのを待ってから、安全を確認して行動するのが基本です。
Q. 家族と連絡が取れないときはどうすればよいですか。
A. 災害直後は電話がつながりにくくなります。災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板の使い方を家族で事前に試し、落ち合う場所や行動の約束を決めておきましょう。連絡がつかないまま探し回るのは危険なので避けてください。
Q. 防災セットを買えば備えは十分ですか。
A. 防災セットは便利ですが、それだけで安心とは言い切れません。中身が自分の家族の人数や体質、持病に合っているかを確認し、家具の固定や安否確認の取り決めなど、お金をかけずにできる備えとあわせて進めることが大切です。
まとめ
首都直下地震への備えは、特別なことではありません。家具を固定する、水と食料を少し多めに置く、家族と連絡方法を決める、外で被災したらむやみに動かない。一つひとつは小さくても、積み重ねれば大きな安心になります。いつ起きるかは誰にも分かりませんが、いつ来ても困らない準備は、今日から始められます。
まずは今週、家のなかの家具を一つ固定するところから始めてみてください。完璧を目指さなくて大丈夫です。私も家族と一緒に、少しずつ続けています。
🛡 マモルの備えメモ
今日の一歩は「寝室の家具を一つ固定する」。それが終わったら、来週は水を1ケース買い足す。小さな一歩を、私と一緒に重ねていきましょう。お住まいの地域の想定は、必ずハザードマップで確認してくださいね。
免責事項:本記事は2026年6月27日時点の公開情報をもとに、一般的な防災の考え方を整理したものです。被害想定や対策の内容は見直されることがあります。最新かつ正確な情報は、内閣府防災・東京都・お住まいの自治体の公式情報をご確認ください。けがや体調の急変など緊急時は、ためらわず119番に連絡してください。本記事は医療・法律・建築の専門的判断を代替するものではありません。