地震で避難するしないの判断は?在宅か避難所か防災士が解説【2026年版】
地震のあと避難所に行くべきか、家にとどまる在宅避難でよいのか。揺れている間は身の安全、収まったら津波・火災・建物の損傷で判断する流れを、防災士マモルが早見表とFAQでやさしく解説します。
「地震のあと、避難所に行くべきなのか、それとも家にいたほうがいいのか」。大きな揺れがおさまった直後、こう迷う方はとても多いです。私も、わが家で同じ状況になったらどう動くか、何度も家族と話し合ってきました。
私は防災士で、小学生と未就園児を育てる親でもあります。子どもを抱えていると、避難所まで移動すること自体が大きな負担になります。だからこそ「避難するか、しないか」をその場の空気で決めるのではなく、判断する軸をあらかじめ持っておくことが大切だと考えています。
先に結論をお伝えします。地震は突然起きるので、台風のように事前に避難することはできません。だから、揺れている間はまず身の安全を守ること。揺れがおさまってから、津波の恐れ・火災・建物の損傷という3つの軸で、避難するかしないかを判断します。 これが内閣府防災や消防庁、気象庁が示す考え方の基本です。
この記事では、避難するしないの判断の流れを、早見表とよくある質問をまじえて整理します。読み終えるころには、「自分の家の場合、どんなときに避難所へ行き、どんなときに家にとどまるか」を、ご自身の言葉で説明できるようになっているはずです。
本記事の最新確認日: 2026-06-27。地震時の避難判断は、内閣府防災・消防庁・気象庁などの公式情報にもとづいています。津波や揺れの想定、避難先は地域によって大きく異なるため、お住まいの自治体のハザードマップや避難情報を必ずご確認ください。
地震で避難するしないは、どう判断すればいいの?
揺れがおさまったあと、津波の恐れ・火災・建物の損傷の3つを確認し、危険があれば避難、なければ在宅避難という順で判断します。
地震は前ぶれなく起きるため、揺れる前に避難することはできません。まず守るのは自分の命です。揺れている間は、丈夫な机の下にもぐって頭を守り、姿勢を低くしてください。そのうえで、揺れがおさまってから周囲の状況を見て、避難するかどうかを決めていきます。
私がいつもお伝えしているのは、次の3つの軸です。
- 海や川の近くにいるなら、強い揺れや長い揺れを感じた時点で、津波警報を待たず直ちに高台へ。
- 火災が迫っている・建物が傾いている・大きく損傷しているなら、避難所や安全な場所へ移動する。
- 建物が無事で周囲に危険がないなら、自宅にとどまる在宅避難も立派な選択肢になる。
この順番が大切です。津波は時間との勝負なので最優先、次に火災や建物の危険、最後に在宅という形で考えると、迷いが少なくなります。次の章から、それぞれを早見表とあわせて見ていきます。
避難する・しないの判断早見表はどうなっているの?
下の早見表で、自分の状況がどこに当てはまるかを確認してください。一つでも「避難」に当てはまれば、無理に家にとどまらないことが大切です。
地震後の避難判断 早見表
| あなたの状況 | 判断 | とるべき行動 |
|---|---|---|
| 海・川・河口の近くで強い揺れ・長い揺れを感じた | 直ちに避難 | 津波警報を待たず、すぐに高台や津波避難ビルへ |
| 津波警報・注意報が発表された | 直ちに避難 | 海から離れ、より高い場所へ。低い場所に戻らない |
| 近くで火災が起きて煙や炎が迫っている | 避難 | 風上・風横へ逃げ、避難所など安全な場所へ |
| 建物が傾いた・柱や壁が大きく壊れた | 避難 | 中にとどまらず、避難所や安全な場所へ |
| 「危険(赤)」の応急危険度判定ステッカーが貼られた | 避難 | 建物に立ち入らず、避難所などへ |
| 建物が無事で、周囲に火災・津波・倒壊の危険がない | 在宅避難も可 | ライフラインや余震に備えつつ、自宅で過ごす |
| 自分で「ここは危ない」と感じた | 避難 | 迷ったら安全側に。無理に家にとどまらない |
この表で、まず「津波は警報を待たず高台」「建物が危険なら避難所へ」「安全が確認できれば在宅避難も選べる」の3点だけは強く覚えてください。それぞれの中身を、これから順番に解きほぐしていきます。
揺れている間は、まず何をすればいいの?
何よりも自分の身の安全を守ることが先です。丈夫な机やテーブルの下にもぐり、頭と体を守ってください。
地震は突然やってきて、台風のように「来る前に逃げる」ことができません。だからこそ、揺れている最中に避難先を考えるのではなく、まずその場で命を守る行動をとります。消防庁も、地震のときに最も大切なのは「自分の命を守り、けがをしないこと」だとしています。
大きな揺れは、おおむね1分ほどでおさまることが多いとされています。その短い間にあわてて外へ飛び出すと、屋根がわらや窓ガラス、看板、ブロック塀などの落下・倒壊に巻き込まれる危険があります。机がない場合は、クッションやかばんで頭を守り、背の高い家具や窓ガラスから離れた場所で姿勢を低くしてください。
避難するかしないかを考えるのは、この「身を守る」段階を終えて、揺れがおさまってからです。順番を取り違えないことが、結果として自分と家族を守ります。
揺れがおさまったら、避難前に何を確認するの?
火元・足元・出口・建物の状態を確認します。あわてて外に出る前に、二次被害を防ぐ確認をしてください。
揺れがおさまったら、まずガスコンロやストーブを使っていれば火を止め、安全を確かめます。割れた食器やガラスでけがをしないよう、靴やスリッパをはいて足元を守ってください。次に、ゆがんで開かなくなる前にドアや窓を開け、出口を確保します。
そのうえで、外へ避難するのか、家にとどまるのかを判断します。このとき頼りになるのが、テレビ・ラジオ・自治体の防災アプリや公式の発表です。気象庁は地震発生から約3分を目標に、津波の予報区ごとに津波注意報・警報を発表します。うわさやデマではなく、公式の情報をもとに動くことが大切です。
私の家では、「火・足元・出口を確かめてから、情報を確認して判断する」という順番を、家族で声に出して練習しています。順番を決めておくだけで、いざというとき迷いが減ります。
津波の恐れがあるとき、避難の判断は変わるの?
大きく変わります。海や川の近くにいるなら、津波警報を待たず、強い揺れや長い揺れを感じた時点で直ちに高台へ逃げてください。
海岸の近くで起きた地震では、地震発生からわずか数分で津波が到達することがあります。気象庁の情報によると、平成5年の北海道南西沖地震では、地震発生から数分で津波が到達したとされています。警報の発表や避難の呼びかけを待っていると、間に合わないことがあるのです。
ですから、海・川・河口の近くで強い揺れや、ゆっくりと長く続く揺れを感じたら、それ自体が避難の合図です。テレビやスマホで警報を確認する前に、まず高い場所へ動き始めてください。津波は地形によって局所的に予想より高くなることがあるため、「ここなら大丈夫」と思わず、より高い場所を目指すことが大切です。
一度高台に逃げたあとは、津波警報・注意報が解除されるまで、低い場所に戻らないでください。第一波より後の波のほうが高くなることもあります。海から離れている地域でも、川をさかのぼって津波が来ることがあるため、河口や川沿いにいる場合は油断できません。
津波の前ぶれや避難のタイミングについては、関連記事の津波の前兆と避難のタイミングもあわせてお読みください。
火災や建物の損傷があるとき、家にいてはいけないの?
火が迫っている、建物が傾いている、柱や壁が大きく壊れているといった場合は、家にとどまらず避難してください。
地震のあとは、ガス漏れや電気のショートから火災が発生することがあります。近くで火の手が上がり、煙や炎が自分のいる場所へ迫ってきたら、在宅避難にこだわらず、風上や風横へ逃げて避難所など安全な場所へ移動します。煙は思った以上に速く広がるため、早めの判断が命を分けます。
建物そのものが危険なときも避難が必要です。大きな揺れで柱や壁にひびが入ったり、建物全体が傾いたりしている場合、その後の余震で倒壊する恐れがあります。少しでも「この家は危ない」と感じたら、無理にとどまらず、安全な場所へ移ってください。判断に迷ったときは、安全な側に倒すのが鉄則です。
私自身、子どもがいると「住み慣れた家のほうが安心」という気持ちが働きがちです。それでも、建物の安全が確かめられないまま家にこもるのは危険です。命を守る行動として、避難を選ぶ勇気を持っておきたいところです。
応急危険度判定のステッカーは、どう見ればいいの?
赤・黄・緑の3色で、地震後にその建物へ入ってよいかを示すものです。色の意味を知っておくと、避難を続けるか家に戻るかの判断材料になります。
大きな地震のあと、自治体は「被災建築物応急危険度判定」を行うことがあります。これは、余震による倒壊や、外壁・窓ガラスなどの落下といった二次災害を防ぐため、専門の判定士が建物の危険度を調べて、結果をステッカーで示す仕組みです。国土交通省や都道府県などで構成する協議会が運用しています。
ステッカーの色の意味は、次のとおりです。
| 色 | 表示 | 意味 |
|---|---|---|
| 赤 | 危険 | 建物に立ち入ることが危険。中に入らない |
| 黄 | 要注意 | 立ち入る場合は十分に注意する |
| 緑 | 調査済 | 建物の使用が可能 |
赤(危険)のステッカーが貼られた建物には立ち入らず、避難所など安全な場所で過ごしてください。黄(要注意)の場合も、安易に戻らず慎重に判断します。ただし、この判定はあくまで二次災害を防ぐための応急的な調査であり、その後の正式な「り災証明」のための被害認定とは別のものです。色の意味を取り違えないよう注意してください。
在宅避難を選んでいいのは、どんなときなの?
建物が無事で、火災・津波・倒壊の危険がなく、ライフラインや備蓄で当面しのげる見込みがあるときです。安全が確認できる場合に限り、在宅避難は有力な選択肢になります。
避難所には多くの人が集まり、プライバシーや感染症、生活リズムの面で負担が大きくなりがちです。乳幼児や高齢者、持病のある方、ペットのいるご家庭では、住み慣れた自宅で過ごせるなら、そのほうが体への負担が少ないこともあります。だからこそ、建物の安全が確かめられた場合の在宅避難は、無理に避難所へ行くより良い選択になることがあります。
ただし、在宅避難には条件があります。電気・水道・ガスが止まっても数日間は自宅で過ごせるよう、水や食料、簡易トイレなどを備えておく必要があります。在宅避難と避難所のちがいや、それぞれに必要な準備については、在宅避難と避難所のちがいで詳しくまとめています。
私の家では、在宅避難を基本に考えつつ、「建物が危ない」「火が迫る」「津波の恐れがある」のいずれかに当てはまったら、迷わず避難所へ向かう、と決めています。在宅避難はあくまで「安全が確認できたら」が前提です。
余震が続くとき、避難の判断はどう変えるの?
最初の地震で建物が傷んでいると、余震で被害が広がることがあります。余震の間も、無理に危険な場所へ戻らないことが大切です。
大きな地震のあとは、しばらく余震が続きます。最初の揺れでひびが入った壁や、ずれた家具が、余震でさらに崩れたり倒れたりすることがあります。いったん家の外へ避難したあとに「片付けに戻りたい」と思っても、建物の安全が確認できるまでは中に入らないようにしてください。
余震のたびに、机の下にもぐる、頭を守るといった基本の身を守る行動を繰り返します。屋外にいるときは、ブロック塀や自動販売機、看板の下など、倒れたり落ちたりするものの近くを避けてください。
自治体からは、避難情報や避難所の開設状況が随時発表されます。判断に迷ったら、自分だけで抱え込まず、自治体の避難情報や呼びかけに従うことが、結果として安全につながります。最終的に「ここは危ない」と自分が感じたら、迷わず避難する。この感覚を大切にしてください。
地震の避難判断でよくある質問は?
ここまでの内容を、よくある質問の形でまとめます。ご自身の状況に近いものから読んでみてください。
Q. 地震が起きたら、すぐ避難所に向かったほうがいいですか?
A. いいえ、まず揺れている間は身の安全を守るのが先です。揺れがおさまってから、津波の恐れ・火災・建物の損傷を確認し、危険があれば避難所へ向かいます。建物が無事で周囲に危険がなければ、在宅避難も選べます。あわてて外に飛び出すと、落下物などで危険な場合があります。
Q. 在宅避難と避難所、どちらを選べばいいですか?
A. 建物が無事で、火災・津波・倒壊の危険がなく、水や食料の備えがあるなら、在宅避難が体の負担を減らせます。一方、建物が傷んでいる、火が迫る、津波の恐れがあるといった場合は、迷わず避難所へ。安全が確認できるかどうかが分かれ目です。
Q. 海の近くで揺れを感じたら、警報を待つべきですか?
A. 待ってはいけません。海や川の近くで強い揺れや長い揺れを感じたら、津波警報の発表を待たず、直ちに高台へ避難してください。地震発生から数分で津波が到達することがあります。津波警報・注意報が解除されるまで、低い場所には戻らないでください。
Q. 自分の家が安全かどうか、どう判断すればいいですか?
A. 柱や壁の大きなひび、建物の傾き、ドアが開かないほどのゆがみがあれば危険のサインです。自治体の応急危険度判定で赤(危険)のステッカーが貼られた建物には立ち入らないでください。判断に迷うときは、安全な側に倒し、無理にとどまらないことが大切です。
Q. 避難すべきか、家にいるべきか迷ったときは?
A. 迷ったら避難を選んでください。自分が「ここは危ない」と感じたら、それ自体が避難の合図です。命を守る行動として、無理に家にとどまらないことを優先してください。津波や揺れの想定は地域で大きく異なるため、日ごろからお住まいの自治体のハザードマップで自宅周辺の危険を確認しておくと、いざというときの判断が早くなります。
まとめ:避難する・しないは「身の安全→3つの軸」で決める
地震は突然やってくるため、揺れる前に逃げることはできません。だからこそ、揺れている間は身の安全を最優先にし、おさまってから津波・火災・建物の損傷という3つの軸で、避難するかしないかを判断します。
津波の恐れがあるなら警報を待たず高台へ、火災や建物の損傷があるなら避難所など安全な場所へ、建物が無事で周囲に危険がなければ在宅避難も立派な選択です。そして何より、自分が「危ない」と感じたら、無理に家にとどまらず避難する。この判断軸を、ぜひご家族で共有してください。
津波や揺れの想定、避難先は地域で大きく異なります。今日のうちに、お住まいの自治体のハザードマップと避難所の場所を一度確認しておくことを、私から強くおすすめします。
🛡 マモルの備えメモ
避難するしないの判断は、その場の雰囲気ではなく「軸」で決めると迷いません。今日できる一歩として、ご家族で「うちは在宅避難を基本にする。でも津波・火災・建物の危険があれば避難所へ行く」と一度声に出して決めておきましょう。あわせて、自治体のハザードマップで自宅周辺の津波・揺れの想定を確認しておくと安心です。私も家族と、年に一度はこの確認を続けています。
免責事項: 本記事は2026-06-27時点の公的情報をもとに、防災の一般的な考え方をまとめたものです。実際の避難判断は、お住まいの地域や建物の状況、その時の災害状況によって異なります。緊急時は自治体や気象庁などの最新の避難情報・警報に必ず従ってください。けがをした方の救助や容体が心配な場合は、ためらわず119番に通報してください。本記事の内容によって生じたいかなる損害についても、当方は責任を負いかねます。
出典:
- 気象庁「津波から身を守るために」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/tsunami_bosai/index.html
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/joho/tsunamiinfo.html
- 内閣府防災「情報と避難行動の関係」https://www.bousai.go.jp/jishin/tsunami/hinan/
- 国土交通省・全国被災建築物応急危険度判定協議会「被災建築物応急危険度判定」