🛡防災の備えメモ

家族の避難経路の決め方|防災士が教える7ステップとチェック表【2026年版】

家族の避難経路の決め方を防災士がやさしく解説。ハザードマップで危険な場所を確認し、川や古いブロック塀を避けて複数のルートを用意する手順、昼夜・天候での変化、実際に歩いて確かめるコツ、地震・水害・津波で逃げる方向が違う点まで。今日から家族で決められるチェック表つき。

「避難場所は知っているけれど、そこまでどの道を通って行くかは、家族で決めていない」。そんなご家庭は、とても多いです。

私は防災士で、二人の子どもを育てる親でもあります。地域の防災イベントで「避難経路を家族で決めていますか」とたずねると、手が挙がるのは数えるほどです。多くの方が「いざとなったら近い道で行けばいい」と考えています。でも、いちばん近い道が、災害のときにいちばん危ない道だった、ということは珍しくありません。私自身、子どもと避難経路を歩いてみて、ふだん通る近道が用水路沿いの暗い道だと気づき、ルートを引き直した経験があります。

先に結論をお伝えします。家族の避難経路は、ハザードマップで危険な場所を確認し、それを避けるルートを複数用意して、実際に家族で歩いて確かめておく。 この三つが決め方の柱です。そして地震・水害・津波では逃げる方向が変わるので、災害の種類ごとに考えておくことが欠かせません。

この記事では、避難経路を家族で決める手順を7つのステップで整理します。危険な場所の早見表と、家族で書き込めるチェック表もつけました。読み終えるころには、今日から家族で避難経路を決められるようになっているはずです。

本記事の最新確認日: 2026-06-27。避難所の指定や避難情報の出し方は、自治体によって異なり、見直されることもあります。実際に経路や避難先を決める際は、お住まいの自治体が公開する最新のハザードマップと避難情報を必ずご確認ください。

そもそも避難経路はなぜ家族で決めておくの?

避難経路を家族で決めておくのは、災害のときに「どこを通って、どこへ逃げるか」をその場で迷わずに行動できるようにするためです。判断が遅れる時間をできるだけ減らすことが、安全につながります。

災害は、家族がそろっているときに起きるとは限りません。子どもは学校、親は職場、高齢の家族は自宅、というようにバラバラの場所にいることのほうが多いはずです。だからこそ、それぞれが「自分はどの道でどこへ向かうか」を前もって知っておく必要があります。

私が地域でお伝えしているのは、避難経路を決めるのは「道を一本選ぶこと」ではない、ということです。危険な場所を避け、別の道も用意し、家族で集合場所と連絡方法まで共有して、はじめて「決めた」と言えます。雨が強まってから、暗い夜道で家族が散り散りに動くのは、とても危険です。落ち着いている今のうちに、一緒に話しておいてください。

避難経路を決める前に何を確認すればいいの?

まず確認すべきは、ハザードマップです。自宅・職場・学校から避難所までの間に、どんな災害の危険があるかを地図上で確かめることから始めます。

ハザードマップには、浸水が想定される区域や土砂災害の危険がある区域、そして避難所の位置が示されています。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」( https://disaportal.gsi.go.jp/ )なら、住所を入れるだけで全国どこでも無料で確認できます。

確認する順番を整理します。

  1. 自宅の災害リスク(浸水・土砂・津波などのどれに関係するか)
  2. 避難先となる指定避難所・指定緊急避難場所の位置
  3. 自宅から避難先までの道のりに、危険な場所が含まれていないか
  4. 職場・学校・実家など、家族それぞれの出発点からのリスク

ここで大切なのは、避難所の安全だけでなく、そこへ向かう「道」の安全まで見ることです。避難所が安全でも、途中の道が川沿いや低い土地だと、移動の途中で危険にあう可能性があります。ハザードマップの見方そのものに不安がある方は、別の記事でくわしく解説しているので、あわせて確認してください。

内部リンク(公開時に接続): ハザードマップの調べ方と見方は でくわしく解説しています。

避難経路で避けるべき危険な場所はどこ?

避難経路では、川や用水路のそば、がけや古いブロック塀の近く、冠水しやすい道や狭い道を、できるだけ避けてルートを引きます。これらは災害のときに、特に危険が高まりやすい場所です。

代表的な危険箇所を早見表で整理します。

避難経路で避けたい危険な場所 早見表

危険な場所 なぜ危険か 関係しやすい災害
川・用水路のそば 増水・氾濫で流される、足を踏み外す 水害・大雨
アンダーパス・地下道 短時間で水がたまり、車も人も出られなくなる 水害・大雨
がけ・傾斜地の下 がけ崩れ・土砂が押し寄せる 土砂災害・大雨
古いブロック塀・石垣 揺れで倒れ、下敷きになる 地震
倒れそうな建物・看板の近く 落下物・倒壊のおそれ 地震
冠水しやすい低い道 水深がわからずマンホールや側溝に転落 水害・大雨
狭い道・路地 倒壊物でふさがり通れなくなる 地震

この表を見ながら、地図上で引いた避難経路に、こうした場所が含まれていないかを確かめてください。一つでも当てはまる場合は、その箇所を避ける別の道がないかを探します。

私が経路を見るときに特に気をつけているのは、水がたまりやすい低い場所です。浸水した道は、水面の下がどうなっているか見えません。ふだんは何でもない側溝やマンホールが、外れていたり水であふれていたりして、足を取られることがあります。「少しの水だから大丈夫」と思える状況でも、流れがあると簡単に足をすくわれます。避けられるなら、低い道は通らないルートを選んでおいてください。

なぜ避難経路は複数用意したほうがいいの?

避難経路を複数用意するのは、いざというときに一本の道が通れなくなることがあるからです。一つのルートだけに頼ると、その道がふさがったときに行き場を失ってしまいます。

災害のときには、こんなことが起こり得ます。

  • 地震で建物や塀が倒れ、道がふさがる
  • 大雨で道が冠水し、通れなくなる
  • 倒木や落下物で歩道が通行できなくなる
  • 火災が起きて、その方向に進めなくなる

こうした事態に備えて、第一ルートが通れないときの第二ルートを決めておきます。できれば、向かう方向の違う二つのルートがあると安心です。たとえば、ふだんは南側の道で避難所へ向かうけれど、そちらが使えないときは北側を回って別の避難場所へ行く、というように考えておきます。

第二ルートは、第一ルートと同じ危険箇所を通らない道を選ぶのがコツです。両方とも同じ川沿いを通るのでは、その川が氾濫したときに二つとも使えなくなってしまいます。違う方向、違う高さの道を組み合わせておくと、どちらかが残る可能性が高まります。

昼と夜・天候で安全な道は変わるの?

はい。同じ道でも、昼と夜、晴れの日と大雨や積雪の日とでは、安全さが大きく変わります。一つの条件だけで「この道は安全」と決めず、状況ごとに考えておくことが大切です。

昼間は見えていた段差や側溝が、夜になると見えなくなります。街灯のない道や、停電で真っ暗になった道は、昼に歩いた印象とはまったく違います。私が夜に避難経路を歩いたとき、昼はなんともなかった道が、想像以上に暗くて足元が見えず、ここを子ども連れで歩くのは難しいと感じました。

天候によっても変わります。

  • 大雨のとき: 低い道は冠水し、川沿いは増水する。風で看板や枝が飛ぶこともある
  • 積雪のとき: 路面が凍り、坂道や階段で滑りやすくなる。歩く速さも落ちる
  • 強風のとき: 飛来物や倒木の危険が高まる

だからこそ、ルートは「昼の晴れた日用」だけでなく、「夜用」「大雨用」を分けて考えておくと安心です。夜や悪天候のときは、多少遠回りでも明るく広い道を選ぶ、という判断もあります。懐中電灯やヘッドライトを玄関に備えておくことも、夜の避難では大きな助けになります。

避難経路は実際に歩いて確認したほうがいい?

はい。地図の上で決めた経路は、必ず一度は家族で実際に歩いて確かめてください。地図ではわからなかった危険や、思っていたより時間がかかる箇所が、歩いてみて初めて見えてきます。

実際に歩くと、次のようなことがわかります。

  • 避難所まで実際にどのくらい時間がかかるか(子どもや高齢者と一緒の場合の所要時間)
  • 地図ではわからない段差・狭い箇所・工事中の場所
  • 夜になるとどのくらい暗いか、街灯がどこにあるか
  • 雨の日に水がたまりやすそうな場所はどこか
  • 途中に頼れる目印(コンビニ・公園・大きな建物)があるか

できれば、昼に一度、夜にも一度歩いてみるのが理想です。家族そろって歩けば、子どもにとっては「自分で歩いた道」になり、いざというときの安心につながります。歩きながら「ここは雨のとき気をつけようね」と声をかけ合うだけでも、家族の備えはぐっと進みます。

時間がない場合でも、まず一度だけでも歩いてみてください。地図だけで完結させず、自分の足で確かめた経路には、紙の上にはない確かさがあります。

地震・水害・津波で避難経路や逃げる方向は違うの?

はい。ここはこの記事でいちばん大切な点です。災害の種類によって、危険な場所も、逃げるべき方向も変わります。 一つの避難経路をすべての災害に当てはめると、かえって危険になることがあります。

災害種別ごとの考え方を整理します。

災害種別ごとの避難の考え方

災害 危険な場所 逃げる方向・避難先の考え方
地震 古いブロック塀、倒れそうな建物、狭い道 落下物・倒壊物を避け、広い空間や指定避難所へ
水害(洪水・内水) 川・用水路、低い道、アンダーパス 浸水しない高い場所・指定避難所へ。低い道を避ける
津波 海沿い、低い沿岸部、河口付近 とにかく高台・高い建物へ。海から遠ざかる

水害と津波と地震では、逃げる方向の考え方がまったく違います。津波のおそれがあるときは、遠くより「高いところ」へ逃げるのが基本です。海から離れる時間がないときは、近くの高い建物に上がる判断もあります。一方、浸水のときは浸水しない場所へ、地震のときは倒れてくるものを避けて広い場所へ、と向かう先が変わります。

だからこそ、避難経路は「地震のとき」「水害のとき」「津波のとき」で、それぞれ分けて考えておいてください。どの災害でどの避難先に向かうかは、お住まいの自治体が指定する避難所・避難場所と、その時に出される避難情報に従うのが原則です。自治体のハザードマップには、災害ごとにどの避難先を使うかが示されていることが多いので、必ず確認してください。

避難のタイミングそのものについては、警戒レベルとあわせて別の記事で解説しています。

内部リンク(公開時に接続): 災害時に家族と連絡を取り合う安否確認の方法は でくわしく解説しています。

家族での集合場所や連絡方法はどう決める?

避難経路と一緒に、家族の集合場所と連絡方法も必ず決めておきます。バラバラの場所で被災したとき、どこで落ち合い、どうやって無事を確かめ合うかを共有しておくことが大切です。

決めておきたいことを挙げます。

  • 第一の集合場所(近所の公園など、すぐ集まれる場所)
  • 第二の集合場所(第一が使えないときの広域避難場所など)
  • 安否の確認方法(災害用伝言ダイヤル171、災害用伝言板、家族のメッセージグループなど)
  • 遠くに住む親戚など、中継役になってもらう連絡先
  • 子どもが学校にいるときの引き取りルール

電話は災害時につながりにくくなることがあります。災害用伝言ダイヤル「171」や、各社の災害用伝言板は、こうしたときに役立つ仕組みです。使い方を一度家族で練習しておくと、いざというとき迷いません。毎月1日などに体験できる日が設けられているので、試しておくと安心です。

私の家では、まず近所の公園を第一集合場所に決め、そこが使えないときは広域避難場所に向かう、と話し合っています。連絡は家族のメッセージグループと171を併用する取り決めです。完璧でなくてかまいません。「迷ったらここに来る」という場所が一つあるだけで、家族の不安はずいぶん減ります。

子どもや高齢者がいる場合の避難経路はどう考える?

子どもや高齢者、体の不自由な家族がいる場合は、その人のペースに合わせて避難経路を考えます。健康な大人だけで歩いた時間や道の選び方では、実際の避難に間に合わないことがあるからです。

配慮したい点を整理します。

  • 歩く速さ: 子どもや高齢者と一緒だと、所要時間は大人だけの場合より長くなります。実際に一緒に歩いて時間を測っておく
  • 段差・階段: ベビーカーや車いす、杖を使う場合、階段や急な坂を避けられるルートを選ぶ
  • 休む場所: 距離が長い場合、途中で安全に休める場所があるか確認する
  • 持ち物: 抱っこやおんぶが必要な年齢の子どもがいると、両手がふさがります。荷物は最小限にする工夫を

高齢の家族が離れて暮らしている場合は、その人が早めに避難できるよう、避難情報が出たら誰が連絡し、誰が手助けに向かうかも決めておきます。逃げ遅れやすい家族ほど、早めの行動が安全につながります。

避難に支援が必要な方については、お住まいの自治体に「避難行動要支援者」の名簿や個別の避難計画の仕組みがある場合があります。地域の支援とつながっておくことも、大切な備えの一つです。

避難経路を家族で決めるチェック表

ここまでの内容を、家族で書き込めるチェック表にまとめました。紙に書き出して、見える場所に貼っておくのがおすすめです。

わが家の避難経路チェック表

項目 確認できたか わが家のメモ
ハザードマップで自宅のリスクを確認した
災害種別ごとの避難先を確認した(地震・水害・津波)
第一の避難経路を決めた
第二の避難経路(別方向)を決めた
経路上の危険な場所を確認した(川・がけ・古い塀など)
経路を昼に実際に歩いて確認した
経路を夜にも歩いて確認した
第一・第二の集合場所を決めた
安否確認の方法を決めた(171・伝言板など)
子ども・高齢者のペースに合わせて見直した

すべてに印がつかなくても大丈夫です。まずはハザードマップの確認から、一つずつ進めてください。家族で表を囲んで話すだけでも、それが立派な防災になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 避難経路はどうやって決めればいいですか。
A. まずハザードマップで自宅・職場・学校から避難所までの危険を確認し、川・用水路・がけ・古いブロック塀・冠水しやすい道などを避けるルートを引きます。一本が通れないときに備えて複数のルートを用意し、実際に家族で歩いて所要時間や危険箇所、夜の暗さを確かめてください。地震・水害・津波では逃げる方向が変わるので、災害ごとに分けて考えることが大切です。

Q. 避難経路は一本だけ決めればよいですか。
A. いいえ。一本の道は、地震で塀が倒れたり大雨で冠水したりして通れなくなることがあります。第一ルートが使えないときの第二ルートを、できれば違う方向に用意してください。両方が同じ川沿いなどを通らないよう、別の高さ・別の方向の道を組み合わせると安心です。

Q. 地震と水害と津波で避難経路は変えるべきですか。
A. はい。災害の種類によって危険な場所も逃げる方向も変わります。津波のおそれがあるときは高台や高い建物へ、浸水のときは浸水しない場所へ、地震のときは倒れてくるものを避けて広い場所へ向かいます。どの避難先に行くかは、お住まいの自治体の指定避難所と、その時の避難情報に従ってください。

Q. 避難経路は実際に歩いたほうがよいですか。
A. はい。地図上で決めた経路は、一度は家族で実際に歩いて確かめてください。歩くと所要時間や、地図ではわからない段差・狭い箇所、夜の暗さが見えてきます。できれば昼と夜の両方を歩くのが理想です。子どもにとっては自分で歩いた道になり、いざというときの安心につながります。

Q. 家族がバラバラの場所にいるときはどうすればよいですか。
A. 集合場所と連絡方法を前もって決めておきます。すぐ集まれる第一の集合場所と、そこが使えないときの第二の集合場所、そして災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板などの安否確認の方法を共有してください。電話はつながりにくくなることがあるため、複数の連絡手段を用意しておくと安心です。

まとめ|今日、家族で地図を開くことから

最後に、大事なことだけ繰り返します。

  • 避難経路は、ハザードマップで危険を確認し、それを避けるルートを引くことから始める
  • 川・用水路・がけ・古いブロック塀・冠水しやすい道・狭い道は避ける
  • 一本が通れないときのために、別方向の複数ルートを用意する
  • 昼と夜、晴れと大雨・積雪で安全な道は変わる。状況ごとに考える
  • 地図だけで終わらせず、家族で実際に歩いて確かめる
  • 地震・水害・津波では逃げる方向が違う。自治体の指定避難所と避難情報に従う
  • 集合場所と連絡方法、子ども・高齢者のペースまで含めて家族で共有する

避難経路を決めることは、家族の命を守る一歩です。完璧でなくてかまいません。今日、家族でハザードマップを開いて、避難所までの道を一緒に見てみるところから始めてください。その一歩が、いざというときの落ち着いた行動につながります。


🛡 マモルの備えメモ

私が地域でお配りしている「わが家の避難チェックリスト」を、LINEで無料配布しています。この記事のチェック表に、家族の連絡先や集合場所、災害種別ごとの避難先まで一枚で書き込めるものです。「決め方はわかったけれど、何から書き出せばいいか迷う」という方にも使いやすいよう作りました。気になる方は、LINEから「チェックリスト」とメッセージを送ってください。落ち着いている今のうちに、ご家族といっしょに備えていきましょう。

※本記事は2026-06-27時点の公開情報をもとに、防災士マモルが執筆しました。避難所の指定や避難情報の出し方は自治体によって異なり、見直されることもあります。実際の避難経路や避難先の判断は、お住まいの自治体が発表する最新のハザードマップ・避難情報にもとづいて行ってください。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の場所や経路の安全を保証するものではありません。けがをした方や救助が必要な場合は、ためらわず119番に通報してください。

出典(一次情報)

  • 内閣府(防災担当)「防災情報のページ(避難に関する情報)」 https://www.bousai.go.jp/
  • 国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ・わがまちハザードマップ)」 https://disaportal.gsi.go.jp/
  • 気象庁「キキクル(危険度分布)・防災情報」 https://www.jma.go.jp/bosai/
  • 総務省消防庁「防災マニュアル(避難の心得)」 https://www.fdma.go.jp/